
海外トップライダーの内側が腰が落ちている理由【馬場亮太のエンデューロチャンピオンライテク】
海外トップライダーの内側の腰が落ちている理由
全日本モトクロスのスポット参戦で下田丈選手やフェルッチョ・ザンキ選手が見せたスタンディングフォームでのコーナリング。海外のレースでよく見ることのできるこのフォームのメリットをRBが解説してくれた。特徴は内側の腰が落ちていて、内側の足に荷重が乗っているということ。こうすることで内側にマシンを向けることもできるし、さらに外側の足も踏みやすくなる。つまり操作が楽になるのだ。
反対に外側に腰が落ちているとバイクだけが一気に傾こうとする。低速でのターンに対しては効果があるが、ステップ加重がしづらく動きが制限されてしまう。サイドスタンドで立てたバイクにスタンディング姿勢で試すと分かるが、腰を内側に落とした時は、上体がセンターに位置していてブレにくく内側にも外側にも加重でき、サスも沈ませることができる。反対に外側に腰を落とすとステップ加重がしづらくなる=サスも沈められないのが体感できるはずだ。




海外トップライダーも多用するスタンディングフォーム
2024年全日本モトクロスにスポット参戦したAMAトップライダー下田丈選手、MXGPライダーのフェルッチョ・ザンキ選手が随所で見せたスタンディングコーナリングは、腰が内側に入るフォーム。もちろんジェット・ローレンス選手など海外トップライダーによく見られるフォームだ。内側に腰が入ることでステップを中心としたコントロールと加重が可能となり、これが現在の海外トップレベルの走り方の象徴的なシーンとも言える。


荒れた路面であるほどステップ加重で乗るメリットが生まれ、前後タイヤに対して適切な圧がかかり強力なグリップを生み出す。もちろんエンデューロコースやサンド、マディ路面でも効果的で、顕著に前に進ませることが可能となる。
良い例
コーナーの内側から見てみよう。ある程度スピードを乗せて曲がりたい場合は、腰を内側に落とすことでステップ加重がしやすくなり、マシンを寝かし、起こすことが容易になる。スムーズな旋回、加速ができていることが後輪のルースト(砂煙)の上がり方でもわかる。
「轍の内側の壁が邪魔になる時も、体を内側に入れてマシンを起こすこともできます」



悪い例
外側に体を落として曲がると、一気にバイクを寝かせることができるが、高速でのコントロールができず、バランスを崩しながらの加速となってしまった。シートの外側角に座るのと同じ理屈で、低速でのタイトターンならばこのフォームが良いが、スタンディングでスピーディーに曲がる場合は、腰を内側に入れることを覚えよう。



ステップ加重でギャップジャンプ!
2024年のJNCC最終戦AA-GPでトップ1-2のGNCCトップランカー、スチュワード・ベイラー選手とマイク・ウィツコウスキー選手だけ、ウッズの小さなギャップをジャンプでクリアし、セクション通過スピードを高いレベルでキープしていたのが印象的だったが、「おそらくウッズの中でも常に彼らは両足でしっかりステップ加重していたはずですね」とRB。ほんの短い助走区間でもステップ加重でジャンプして見せてくれた。
内側に出していた足を即座にステップに戻すことでギャップに備えることが可能となる。その際に車体からの延長線上に上体があることが大事で、圧力を逃さないようにしたい。


