
【カワサキ Ninja 7 hybrid】パワーと環境性能の両立。唯一無二のストロングハイブリッド【中野真矢×平嶋夏海インプレッション】
Ninja 7 Hybridは、他に類を見ないハイブリッドパワーユニットを持つスポーツバイク。環境性能や燃費性能ばかりが持て囃されるハイブリッドだが、このマシンに限ってはそうではない。なぜならNinjaの血統に連なる一台であるからだ。そんな異色のマシンを、中野真矢さんと平嶋夏海さんがインプレッション。
PHOTO/H.ORIHARA TEXT/K.ASAKURA
取材協力/カワサキモータースジャパン 70120-400819
https://www.kawasaki-motors.com/
誰もが未体験の新世界ハイブリッドの走り
中野 今回は、今までにない新しいコンセプトのバイク、ニンジャ7ハイブリッドを走らせてみました。なんと言ってもハイブリッドだからね。四輪ではすっかり一般的なメカニズムになっているけど、バイクだと珍しいよね。
平嶋 ですよね。私もスゴく気になっていたバイクです。だって、ストロングハイブリッドじゃないですか? 一体どんな走りをするんだろう? って、超ワクワクですよ。
中野 だよね。僕はハイブリッドのバイクはスクーターで試したことはあるんだ。なかなか良かったと記憶しているよ。でも、スポーツタイプは初めてだなあ。そもそも、他にハイブリッドのスポーツバイクってあるのかな?
平嶋 無いっぽいですよね。聞いたことがありません。
中野 僕も知らないかな。

平嶋 私、ハイブリッドのバイク自体が初体験なんです。バッテリーEVなら、この企画で乗せてもらったニンジャe1を含めて、何台か乗ったことがあります。モーターの加速感って独特じゃないですか? ハイブリッドになると走りがどう変わるのか、ソコがかなり気になってました。
中野 ストロングだし(笑)。
平嶋 そう、なんたってストロングですからね! コレはスゴいに違いない、と(笑)。すいません、言っちゃっていいですか?
中野 どうしたの?
平嶋 〝ストロング! ストロング!〞と騒いでおいて今更アレなんですけど……。ストロングハイブリッドって、普通のハイブリッドと何が違うんでしょうか?
中野 ソコは気になるよね。一般的には制御の違いを指す用語だね。ハイブリッドは、エンジンとモーターを併用して燃費性能やパワーアップを狙ったシステムでしょ?

平嶋 そうですよね。
中野 ハイブリッドには、ストロングタイプとマイルドタイプの二つがあるんだけど、モーターのみでも走行可能なものをストロングハイブリッドと呼ぶんだ。対してマイルドハイブリッドは、動力の主役はあくまでエンジン。モーターは加速時のアシストなどにしか使わないというものなんだ。
平嶋 そうなんですね。ストロングっていうくらいだから、スッゴく速いのかと思ってました。
中野 イヤイヤ(笑)。ストロングハイブリッドは、走行状態によってエンジンとモーターを使い分けたり、パワーをミックスしたりと高度な制御を行なっているスゴいシステムなんだ。コストもかかってるし、色々な面で高いパフォーマンスが期待できるんだ。
平嶋 なるほど。でもなんで、ストロングって呼ぶんでしょう? 高性能なのはわかりましたけど、あんまり〝ストロング感〞がないです。
中野 マイルドはモーターをサポートにしか使わないから、モーターの出力が小さい。ストロングはEV走行まで視野に入れているから、モーターの出力が大きいんだ。モーターの出力の違いから生まれた区別みたいだね。

平嶋 納得しました!
中野 ニンジャ7ハイブリッドはバッテリーEVとしても走行可能だし、ストロングハイブリッドにカテゴライズされるんだ。でも僕たちみたいなスポーツライディング好きのライダーは、やっぱり速さが気になっちゃうよね。
平嶋 そうなんですよ! エンジンの排気量が451ccですよね。今朝、家を出る時から、451ccエンジンと比べたらスゴく速いのかな? とか、私に乗れるかな? とか、ハイブリッドの乗り味ってどんなだろう? とか、気になって気になって……。
中野 メチャクチャ期待してきたんだね(笑)。では、実際に走らせてみてどう感じたんでしょうかっ!
平嶋 それが……。正直なところ〝これがハイブリッドだっ!〞って常に感じているということはありませんでした。

中野 うん、そうだね。
平嶋 悪い意味じゃないんですよ。
中野 それもわかる。
平嶋 びっくりするくらい普通に走っちゃうバイクなんです。スロットルを大きく開けての急加速中とか、モーターのアシストが入っているはずなんですけど、その切り替わるポイントというかモーターが介入する瞬間がわかりませんでした。それぐらい自然です。
中野 完成度高いよね。四輪ではハイブリッドの経験がそこそこあるんだけど、出始めの頃はエンジンとモーターの切り替わるポイントがハッキリわかった。アクセルを抜いて停止寸前の時とか違和感が大きかった。ニンジャ7ハイブリッドからはそうした違和感を感じない。スロットルオフで回生システムが働くから、バックトルクに影響が出ているはずなんだけど、エンジンブレーキが変に効き過ぎたりすることもない。ライダーってバイクが〝どう動くか〞を繊細に感じ取っているんだけど、昔の四輪のハイブリッドみたいな制御では乗れたものじゃないだろうと思う。相当時間をかけて仕上げたんじゃないかな?

平嶋 自然です。エンジンのバイクからパッと乗り換えても普通に走れちゃいます。でも、ハイブリッドならではの楽しさもありますよね。
中野 e-ブーストでしょ?
平嶋 ソレですっ! e-ブースト、メチャクチャ楽しいです。
中野 作動させた時、グワっとパワーが上がるから楽しいよねえ。
平嶋 ついついe-ブーストのボタンを押しまくっちゃいますね。

中野 e-ブーストの作動中は、全域で650cc相当のパワーということなんだけど。
平嶋 〝手に負えない〞って感じでもありませんし、実際の速さ云々よりも、エンジンの回転上昇を待たずにパワーが出てくる感覚がエンジンとは全く異質で面白いです。
中野 あと、e-ブースト使った発進加速。アレは速いね。
平嶋 速いです。ゼロ発進するところを見ていても〝速っ!〞って思いましたもん。
中野 なんでもゼロ発進に関しては、特定の条件下ではニンジャZX-10Rを上回る速さがあるんだって。
平嶋 そんなにですか!? 確かに速くてビックリしましたけど。
中野 e-ブーストは、ニンジャe1にも装備されている機能だったよね? ニンジャe1を走らせた時もたくさん使ったけど、バッテリーの残量が急激に減るのが気になった。でも、ニンジャ7ハイブリッドはバッテリー残量を気にする必要がない。ハイブリッドのメリットだよね。充電の心配をしなくていいのは大きいよ。
平嶋 EVモードはどうでしたか?
中野 街中だけならアリかな? スポーツバイクのパワーユニットとしては、モーターだけだと力不足かな。60km/hくらいしか出ないし。
平嶋 私的には、コレ欲しいって思うポイントです。ほとんど音がしないじゃないですか? 早朝や深夜に家から出入りする時、すごくありがたいですよ。住宅街ではEVモードを使って、幹線道路に出たらハイブリッドで走るっていう。
中野 なるほどね。都市型の生活を送っている人にはメリットが大きいんだね。EVモードといえば、WALKモードが最高だね。
平嶋 最高です。勝手にバイクが進んじゃうのではなく、力を入れずにバイクを動かせる感じです。軽いバイクじゃないのに、小排気量車みたいに取り回せます。そしてなにより、リバース機能がいいですよね。
中野 同感。リバース機能最高。全てのバイクに標準装備すべきでしょう(笑)。話が前後してしまうけど、ギア選択がMTとATを選べるけど、どうだった?
平嶋 どちらも違和感なく走れました。ただ、クラッチレバーとシフトペダルがありませんよね。慣れなくて、左手と左足が何度も空振りしちゃいました。
中野 僕も最初は面食らったけど、すぐ慣れたよ。最近はクラッチレバーレスのバイクも増えてきているしね。気になる点があるとしたら、ATモードの時にシフトアップのタイミングが早めの点かな。多分、燃費を考えて、あまり回転を上げないようにプログラムされているんだろうけど。もうちょっと上まで引っ張ってくれた方が楽しそう。
平嶋 攻めたい人ですもんね(笑)。スポーツライディングするとしたら、運動性はどう評価します?
中野 ハンドリングは意外と軽快だよね。車重もあって、ホイールベースも長いのに。でもやっぱり、コーナーはクルッと機敏に回る感じはないかな。切り返しとかでも重さを感じる場面はあった。その分、直進安定性はかなり良いね。
平嶋 タイトコーナーで、思ったより外に行きたがる感じはありました。
中野 曲がらないわけじゃないんだけど、乗車感覚がコンパクトだから、相対的にラインが大きく感じる部分はあると思う。ブレーキングで思い出すんだよね、イメージより減速しなくて〝そうだ、コレは重いバイクだった〞って。ブレーキの容量が足りないとかじゃなくて、乗ってる感覚がニンジャ250くらいだから、そのつもりでブレーキをかけちゃう。乗車時の視点でみて、バイクが小さく感じるのは好きだな。
平嶋 軽快ですけど、安定性も高いですよね。私は、クルッと曲がるバイクより、ドシッと安定してくれるバイクの方が好みなので好印象です。
無限に広がる可能性この先に期待するもの
中野 デザインはどう感じた? ニンジャのファミリーデザインを踏襲しつつ、上手く未来感を演出していると思うけど。
平嶋 ニンジャ感はありますよね。そこはいいんですけど、もうちょっと高級感を出してくれてもいいかなって……。価格帯は高級バイクですよね、それに加えて現時点で唯一のストロングハイブリッドっていう特別なバイクじゃないですか? 見た目からも、もっと特別感を感じさせて欲しいなって。色かな?

中野 未来を感じさせるカラーリングだと思うけど?
平嶋 ハイブリッドの持っている、エコでクリーンな感じは出てるんですよ。個人的なものかもですが、私のカワサキのイメージって、“重厚”“機械”って感じなので、そうあって欲しいなあって。
中野 H2シリーズ的な?
平嶋 そんな感じですね。そこが惜しいと感じます。カスタム好きの中野さんは、ニンジャ7ハイブリッドを手に入れたとしたら、どんな風に手を加えたいですか?
中野 う〜ん、あんまり“ココを変えたい”ってところもないんだよね。スタンダードで完成されている気がするし、下手にいじってバランスを崩したくないというか……。でも、やっぱりマフラーは変えたいかな。
平嶋 どうしてもソコに行くんですね(笑)。
中野 行くね! 社外マフラーも出てきつつあるみたいだし。でも、パワー特性が変わるだろうし、モーターアシストの制御との兼ね合いとかどうなるんだろう? そういうメカニズム的な興味からも、マフラーは気になるかな。でもまあ、ハイブリッドのスポーツバイクを走らせるって、面白い体験だったね。ニンジャ7ハイブリッドで走って、何か感じたことはある?

平嶋 そうですね。走らせる前は、興味とビビりが半々で、テンションが爆上がっていたんですよ。
中野 ストロングだし(笑)
平嶋 です(笑)。実際に乗ってみたら、意外なほど普通で完成度の高いバイクでした。それは嬉しい驚きだったんですけど、違った形で驚かされることを期待していた部分があったと思うんですよね。
中野 と、言うと?
平嶋 モーターのパワーで手に負えないモンスターとか。
中野 その気持ちはわからなくもないな。未知の存在に対する、畏れと期待ってあるもんね。カワサキは、まずハイブリッドのスポーツバイクという存在を、世の中に認知させて普及を進めることを考えたんだと思うんだ。そのためには誰もが乗れる気軽さと、安心して乗れる完成度の高さが必要だったんじゃないかな?
平嶋 そうですね。ミドルクラスのパワーと、250ccクラスの燃費性能を両立しているんですから、魅力の面では十分強力ですもんね。
中野 多くの人に愛されるポテンシャルはある。だからこそ、より多くの人に受け入れられるために、ある意味で“フツーに高性能”なバイクに仕上げたのでは? と思う。
平嶋 ハイブリッドのスポーツバイクは、生まれたばかりですもんね。
中野 まだまだこれから、過渡期の存在だからね。この先は、ハイブリッドのバイクが当たり前の時代が来るかもしれないよ。四輪の世界はそうなってるわけだし。それを踏まえて、今後に期待することはある?
平嶋 そうですね。ハイブリッドって環境性能の高さをアピールすることが多いですけど、あえてパワーに全振りしてみるとか?
中野 ストロングだ(笑)。
平嶋 だって、ハイブリッドって特別感スゴいじゃないですか! だからこそ、トガりにトガッたバイクを見てみたいんです。パワー方面だけじゃないですよ。遅くてもいいから、超絶低燃費のバイクとかもアリです。1リッターで100km以上走っちゃうような。
中野 ガソリン高いからねえ。ウケるかもしれない。
平嶋 中野さんは、何か要望はないんですか?
中野 ニンジャ7ハイブリッドの完成度が高いからなあ……。あ、あった! ハンドルスイッチの操作が難しかったので、もっと簡単になると嬉しいです。
平嶋 オジイちゃんみたい(笑)
KAWASAKI Ninja 7 Hybrid









エンジン | 水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ |
総排気量 | 451cc |
ボア×ストローク | 70.0×58.6mm |
圧縮比 | 11.7:1 |
システム最高出力 | 69ps/10500rpm |
システム最大トルク | 6.1kgf・m/2800rpm |
エンジン最高出力 | 58ps/10500rpm |
エンジン最大トルク | 4.4kgf・m/7500rpm |
モーター最高出力 | 12ps/2600~4000rpm |
モーター最大トルク | 3.7kgf・m/0~2400rpm |
変速機 | 6段リターン(電子制御式マニュアルモード付オートマチック) |
クラッチ | 湿式多板 |
フレーム | ダイヤモンド |
キャスター/トレール | 25.0°/104mm |
サスペンション | F=φ41mmテレスコピック正立フォーク |
R=モノショック(ニューユニトラック、スプリングプリロード調整可能) | |
ブレーキ | F=φ300mmダブルディスク+2ポットアキシャルマウントキャリパー |
R=φ220mmシングルディスク+2ポットキャリパー | |
タイヤサイズ | F=120/70ZR17 |
R=160/60ZR17 | |
全長×全幅×全高 | 2145×750×1135mm |
ホイールベース | 1535mm |
シート高 | 795mm |
車両重量 | 228kg |
燃料タンク容量 | 14L |
価格 | 184万8000円 |