スーパーカブ C50/C70デラックスⅡ|ディープなカブの世界

1971年に登場しながら、わずか数ヶ月で姿を消した幻のスーパーカブ「デラックスⅡ」。当時の日本におけるバイク文化の変遷とともに、その希少な存在に迫る

専用シートと専用キャリアが特徴

モデルチェンジ後もC100に近い構造のタンクとフレームが別体というシステムを採用し続けていたが、1971年にタンクとフレームが一体構造の「デラックス」が登場。そしてその数ヶ月後に追加されたのが本モデル「デラックスⅡ」だ。ダブルシートを装備するのが最大の特徴。50と70に設定され、それぞれに専用のシートとキャリアが用意された。だがこのモデルはすぐに廃止されたため、生産期間は非常に短い。当時の日本でカブというモデルはまだまだビジネスユースの色が濃く、プライベートなモデルが定着することはなかった。

スーパーカブ50 デラックスⅡ
スーパーカブ70 デラックスⅡ

このデラックスⅡに限ったことではないのだけれど、この頃のカブシリーズは50 と70 でスイングアームの方式が違うのよ。50 はL 字型で、70 は直線型。それに合わせてリアショックの長さも異なるの。さらに言えばチェーンケースも固定方式が異なるのでそれぞれ専用品。ホンダ車の専用設計の多さには本当に驚かされるわね。

絵・文 門前秋良

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