内浦湾の向こう岸は羊蹄山これもまた北海道の景色|ツーリングガイド・北海道 森町

北海道・森町でのツーリングは冒険心をくすぐる体験の連続。カプセルホテルに泊まり、名物いかめしを食し、絶景「鳥崎渓谷八景」や駒ケ岳を巡る——。北海道ツーリングの入口にも締めくくりにも最適な旅をご紹介!

写真/小林司 文/盛岳郎 取材協力:ヒョウドウプロダクツ
TEL053-465-8281 https://www.hyod-products.com/

時間によっても表情が違う

今回泊まったのは「リブマックスリゾート函館グリーンピア大沼」という場所。施設のジャンル的には、スキーや四輪バギーにキャンプ、コテージまであるアウトドアの総合アミューズメント施設といったところ。ここにあるレジャーはライダーに関係がない……? がしかし、去年の夏より新たなサービスが開始されており、それがカプセル型ホテルの「マックスキャビン(男性限定)」。同施設には大浴場があるので、一日中走って宿泊は寝るだけ、みたいな忙しいライダーにとっては最適な選択ではないだろうか。

リブマックスリゾート函館グリーンピア大沼

家族からライダーまで楽しめる
駒ケ岳を一望できるロケーションが魅力のホテル。施設内はグランピングやコテージやキャンプ、日帰り温泉など、リフレッシュ&癒しの設備、バギーやゴルフなどもできる、総合アウトドアアミューズメントパーク。ライダー(男性限定)にオススメなのが去年の夏にオープンしたカプセルルームの「MAX CABIN」。リーズナブルに宿泊できるので、旅に忙しいライダーは利用しない手はない!

北海道茅部郡森町赤井川229
TEL01374-5-2277
https://www.gp-onuma.com/

翌朝目覚めると、予報通り晴れていた。外に出ると朝日に照らされている駒ケ岳が眼に飛び込んでくる。朝は山肌に陰影が付いて、少し荒々しさを感じ「山は生きている」ということを思い出させてくれる。今日はツーリング最終日、ぐるっと駒ケ岳を周ってから函館へ向かうことにした。

その前に、忘れてはいけないのが「いかめし」である。いかめしは森町のご当地グルメで某デパートが主催する駅弁大会で何度も一位を獲得している駅弁界のトップランナー。せっかくなら現地で、と朝ごはんがてら向かったのは森駅前にある「柴田商店」さん。同店は森町内でいかめし弁当が買える数少ない店舗の一つで、あとは「ローソン森町富士見店」のみだ。

目印のいかめしののれんがかかり、朝9時オープン。一番乗りで駆け込んでいただいたいかめしは、できたてでまだほんのりあたたかい。聞くと、朝に搬入して、売れ行きをみてまた昼頃に仕入れることもあるとのこと。できたてを確実に食べたいなら、朝9時に行くことをオススメする。

柴田商店

いかめし“弁当”が買える駅前の老舗販売所
1960年代から駅弁として売り出されている有名ご当地グルメである阿部商店の「いかめし」。お土産にも最適なレトルトもあるが、すぐに食べられるお弁当が森町で買えるのは近くのローソンとココだけ。小ぶりなイカにモチ米が入っている、見た目に反して満足度の高い一品。朝イチで仕入れるので、朝買えばお弁当はほんのりあたたかい

北海道茅部郡森町字本町32
TEL01374-2-2797
営業時間:9:00〜18:00
定休日:不定

少し海のほうに走ってみて、海を眺めながらいかめしを食べることにする。弁当にしては小ぶりではあるが、食べてみるとしっかり米がつまっていてボリューミー。イカとタレの甘みの香りが立つ食欲のそそる一品だった。今日は天気がいいから、海の向こうに羊蹄山や地球岬が見える。遠いような、思ったより近いような……。

天気がいいと羊蹄山(1898m)など内浦湾の対岸を見ることができる。北海道の大きさや道南エリアの位置関係を肌で実感できる景色

駒ケ岳を一周する前に、「鳥崎渓谷八景」という場所があると聞いて山の中へとスクランブラー900を走らせてみる。行き止まりのルートにはなるが、北海道らしくないコンパクトなワインディングで、山の荒々しさや川の美しさを間近で感じることができる道だった。取材時は冬季閉鎖のため駒ケ岳ダムまでしか行けなかったが、5月以降であれば上大滝まで見ることができるそうなので、ぜひ! 

駒ケ岳を見ながらツーリングを続ける。標高1131mの活火山、特徴的な二つの山頂があることがふもとからも分かるが、もとは富士山型のきれいな山だったそうだ。大昔、火山活動により山が崩れ(この時、湾側に崩れた。だから山の東側は直線的な稜線になっている)、現在の特徴的な山の形をしているんだとか。言われてみると、その痕跡が分かるような気がする……。

ほかにも、山が生きていることの証明にもなる「しかべ間歇泉」、景勝地で知られる「大沼」は先の噴火の土石流で川がせき止められてできた湖だとか。今走っている場所や今まで僕が感動した景色はすべて、駒ケ岳の鼓動があってこその景色なのだ。

駒ケ岳をともにする隣町の鹿部町の間欠泉。自然のパワーを感じられる

今回走った森町は、スケール感もコンパクトなので、要点をかいつまむとおそらく1日で十分に走りきってしまうだろう。だが、駒ケ岳を起点に、我々ライダーが走って楽しい場所は無数にあって、迷い込むような走り方が森町の楽しみ方だと感じた。ここから先はどうなってるか、ここ曲がってみたら、そんなバイクの原点である〝冒険〟をするとてもいいフィールドだった。

ライダーの皆さんは、どういうシチュエーションで森町に来るだろう。青森からフェリーを使って、これから長い北海道ツーリングが始まるタイミングか。道内を走り切った後、北海道の最後に立ち寄る町になるのか。道民にとってはいち早く走り始められる春先のフライング気味のツーリングエリアか……。どんな状況であってもこの「冒険感」は変わらない。この森町という〝まち〟を、ぜひ楽しんでほしい。

森町見どころ

森駅。一応僕もモリなので…… 
「ラッキーピエロ」函館の名物は森町でも食べられる
上大滝までのピストンではあるが、入れはすぐにワインディングが待っている。路面状況自体はそこまで良くないがちょっとした冒険感
周辺は北海道らしい牧草地帯が広がるビュースポット。ここではサラブレットを育てているそう

編集長 モリ
本誌BikeJINの編集長。静岡のほうの森町(の近く)出身。道南エリアは三度目の訪問。北海道森町、冷凍食品発祥の地、らしいです

関連記事一覧