【ホンダ CB1000F Concept】復活のF|伝説的なカラーを纏って大名跡が再興

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/Y.FUJITA
問/本田技研工業 
70120-086819 https://www.honda.co.jp/motor/

国産ネイキッドの王道を受け継ぐ4気筒1000㏄

ホンダのコンセプトモデルであるCB1000Fコンセプトが、3月21日から開催された大阪モーターサイクルショーの会場でベールを脱いだ。そのカラーリングは、往年の名車CB750Fや、AMAスーパーバイクでフレディ・スペンサーが駆り、数々の勝利を獲得したCB900Fをモチーフにしていることは言うまでもない。

それに加えて、当時のバイク界を取り巻く状況と今回のコンセプトモデルの登場には、ある種の共通点があることも見逃せない。

CB750Fが発売された’79年当時、カワサキはZ1(900スーパー4)の後継機であるZ1000やZ1-Rを販売し、リッタースポーツバイクに先鞭をつけていた。この成功を後追いするように、国産各社は大型ネイキッドを開発。高性能な直列4気筒エンジンとツインショックを採用した大型ネイキッドは、日本製バイクの代名詞になっていった。

【1979 HONDA CB750F】1970年代に無敵を誇った耐久レーサー・RCBの技術をフィードバックして開発された空冷4バルブDOHCエンジンを搭載。欧米市場を意識したシャープなデザインが特徴で、高性能と扱いやすさを両立。レーサーレプリカブーム前夜の名車として今も人気だ
【1979 HONDA CB750F】1970年代に無敵を誇った耐久レーサー・RCBの技術をフィードバックして開発された空冷4バルブDOHCエンジンを搭載。欧米市場を意識したシャープなデザインが特徴で、高性能と扱いやすさを両立。レーサーレプリカブーム前夜の名車として今も人気だ

しかし、厳しい排ガス規制の影響もあって2010年代には多くのモデルが終売となっている。

こうしたスポーツ性の高さを強みとしていたモデルに代わり、現在の大型ネイキッドカテゴリーを牽引しているのが、Z1の雰囲気を纏って’17年にデビューしたZ900RSだ。’18〜’23年まで6年連続で大型バイク販売台数で首位を獲得し、4気筒ネイキッドカテゴリーにネオクラシックという概念を定着させた。

今回発表されたCB1000Fコンセプトは、そんなZ900RSに真っ向勝負をかけているような印象を受ける。ベース車はおそらく今年発売されたCB1000ホーネットで、これに丸形1灯ヘッドライトや角張った燃料タンク、跳ね上がったテールカウルとダブルシートなどを装着。これらの造形は’20年に発表されたCB-Fコンセプトから引き継いでいるが、市販に向けた作り込みはかなり進んでいる。

40年以上前にZシリーズを超えるべく開発されたCB750/900F。そしてZ900RSに触発されるように生まれたCB1000Fコンセプト。ZとCBのライバル関係は、これからも続いていく。

HONDA CB1000F CONCEPT
HONDA CB1000F CONCEPT
やや幅の狭いバーハンドルを低めにセット。液晶パネルはCB1000ホーネットと同型の5インチフルカラーTFTと思われるが、細かい仕様は未発表
やや幅の狭いバーハンドルを低めにセット。液晶パネルはCB1000ホーネットと同型の5インチフルカラーTFTと思われるが、細かい仕様は未発表
’70 ~’80年代テイストの角張ったデザインの燃料タンク。フレームによる制約があるため当時ほどスリムではないが、レトロなイメージは継承している
’70 ~’80年代テイストの角張ったデザインの燃料タンク。フレームによる制約があるため当時ほどスリムではないが、レトロなイメージは継承している
表皮のパターンもCB750Fを彷彿させるデザイン。燃料タンクから繋がるサイドカウルはFシリーズのアイコンと言えるディテールだ
表皮のパターンもCB750Fを彷彿させるデザイン。燃料タンクから繋がるサイドカウルはFシリーズのアイコンと言えるディテールだ
エンジン詳細は公表されていないがおそらくCB1000ホーネットと同型で、低中速の扱いやすいトルク特性に定評がある2017年型CBR1000RRベース
エンジン詳細は公表されていないがおそらくCB1000ホーネットと同型で、低中速の扱いやすいトルク特性に定評がある2017年型CBR1000RRベース
ホイールのデザインもCB1000ホーネットと共通。ブレーキキャリパーはホーネットのスタンダードグレードと同じニッシン製が装備されていた
ホイールのデザインもCB1000ホーネットと共通。ブレーキキャリパーはホーネットのスタンダードグレードと同じニッシン製が装備されていた
SHOWAのセパレート・ファンクション・ビッグピストン(SFF-BP)が装着されていた。CB750Fと同じく、アウターチューブはブラックだ
SHOWAのセパレート・ファンクション・ビッグピストン(SFF-BP)が装着されていた。CB750Fと同じく、アウターチューブはブラックだ
テールランプはLED式だが、現代のバイクとしては大きめのスクエアデザイン。これも往年のディテールをリバイバルしているように思える
テールランプはLED式だが、現代のバイクとしては大きめのスクエアデザイン。これも往年のディテールをリバイバルしているように思える
トリムにメッキを施した丸目1灯のヘッドライトや、剥き出しのホーンなどがレトロ感を演出。ラジエターでエキゾーストのヘッダーパイプが隠れてしまうのが惜しい!
トリムにメッキを施した丸目1灯のヘッドライトや、剥き出しのホーンなどがレトロ感を演出。ラジエターでエキゾーストのヘッダーパイプが隠れてしまうのが惜しい!
ハンドルは低めだがポジションはそれほど前傾しておらず、ロングツーリングも快適そうだ。跨がるとタンクの位置が低く、低重心という印象を受ける。足着きはかなり良好で(モデル身長170cm)、車体の軽さと併せてUターンもしやすそうだ
ハンドルは低めだがポジションはそれほど前傾しておらず、ロングツーリングも快適そうだ。跨がるとタンクの位置が低く、低重心という印象を受ける。足着きはかなり良好で(モデル身長170cm)、車体の軽さと併せてUターンもしやすそうだ

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