• HOME
  • 記事
  • バイク , RIDERS CLUB
  • 【ビモータ KB4RC】驚きに満ちた”尖ったっバイク”懐かしいエキサイトメントを感じる【中野真矢 公道インプレッション】

【ビモータ KB4RC】驚きに満ちた”尖ったっバイク”懐かしいエキサイトメントを感じる【中野真矢 公道インプレッション】

自分たちが進む道は、曲げたくない。  個性を決して、譲らない──。  ビモータからは、メーカーとしての強い意思を感じる。  変わりゆく情勢の中で、貫き続けることは難しい。  だが、貫くことでしか得られないものがある。  ビモータを支えている熱烈なファン。  その熱量の高さこそが、まさにそれだ。

【中野真矢】
’77年生まれ。世界GP/MotoGPで活躍。カワサキレーシングチームでは3シーズンを過ごし、’06 年オランダGPで2位、’04年日本GPで3位表彰台獲得
【中野真矢】
’77年生まれ。世界GP/MotoGPで活躍。カワサキレーシングチームでは3シーズンを過ごし、’06 年オランダGPで2位、’04年日本GPで3位表彰台獲得
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/G.TAKAHASHI
取材協力/カワサキモータースジャパン
☎0120-400819 
https://www.kawasaki-motors.com/

割り切ったキャラクターはレーシングマシンのようだ

尖ったバイクだ。エクステリアも、メカニズムも、ライディングフィールも唯一無二。ビモータの名にふさわしいオリジナリティに満ちているうえに、目に入るパーツは高品位なものばかり。しかもクラフトマンシップを感じる造作のオンパレードで、驚きに満ちている。眺めるだけでここまで気分が高まるバイクも、そう多くない。

何しろKB4RCは、シート下にラジエターを配しているのだ。フロントにはシュラウドのようなエアダクトが設けられていて、シート下のラジエターに導風する仕組み。「理想的な前後重量配分を実現するため」ということだが、このユニークさには驚かされる。

またがると、また驚きがある。かなりスパルタンなライディングポジションなのだ。ネイキッドではあるが、フルカウルのレーシングマシンのよう。いざ走り出すと、公道がまるでサーキットのピットロードのように感じられる。

ハンドリングがまた、驚くほどクイックだ。キャスター角が立っていてフロントタイヤが非常に近いところにあるような印象で、低速域では切れ込み感と同時に手強さを感じる。

始めのうちは、自分の体を前後してしっくりくるポジションを探したり、「どうやればうまく走れるんだ?」と戸惑ったが、突然印象が変わったのは、高速道路を走り出した時だ。

スピードが乗れば乗るほど、バイクからのフィードバックが増し、感覚をつかみやすくなるのだ。高速道路に入って初めて、KB4RCと会話できたような気がした。

かなり高速域での走行を狙ってのハンドリングになっているのだろう。今回の試乗は公道のみだったが、KB4RCはサーキットがもっとも似合うバイクなのだと感じた。

これだけ個性的なバイクを他に例えるのは野暮な気もするが、あえて言うなら、かつての2ストレプリカのようだ。スパルタンなライディングポジションは往年のレーシングマシンそのものだ。ハンドリングのクイックさは1043ccという排気量や191kgの車重を感じさせない。

言うまでもなくKB4RCは現代的な4ストマシンなのだが、乗り味のそこかしこに軽快な2ストレプリカ感があふれていて、ちょっと懐かしいエキサイティングさが味わえる。

唯一指摘しておきたいのは、クイックシフターが一世代前のものだということ。今回は最新世代クイックシフターを搭載したカワサキ車との同時試乗だったが、最新世代の出来がいいだけに、低速域で使い切れないのがもったいなく感じた。

フレンドリーとは言い難いキャラクターだが、ビシッとはまる速度域に入った時には他にない快感が味わえるKB4RC。いかにもバイクらしい割り切り感が、僕は好きだ。

BIMOTA KB4RC

SPECIFICATIONSBIMOTA KB4RC
エンジン水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 1043cc
最高出力142ps/10000rpm
最大トルク111Nm/8000rpm
キャスター/トレール24.0°/100.8mm
サスペンションF=φ43mm オーリンズ製 FG R&T NIX30 フルアジャスタブル倒立フォーク
R=オーリンズ製 TTX36 フルアジャスタブル シングルショック
ブレーキF=φ320mm ダブルディスク+ブレンボ製4ポットキャリパー
R=φ220mm シングルディスク+ブレンボ製1ポットキャリパー
タイヤサイズF=120/70ZR17
R=190/50ZR17
ホイールベース1390mm
シート高810(±8)mm
車両重量191kg
燃料タンク容量19.5L
価格473万円

関連記事一覧