
いつ測る? サーキットでの空気圧は? 空気圧の悩みをディアブロマンが解消!!
どんなにいいタイヤでも、適正な空気圧でなければ本来の性能を発揮できない。では、公道やサーキットにおけるその“適正値”はどれくらいなのか?一般ユーザーが意外と知らないタイヤ空気圧のことを、ディアブロマンに聞いた。
【日本生まれのディアブロマンとは?】ピレリジャパンのオフィシャルライダーとして、ピレリの多彩な活動に携わる「ディアブロマン」。重要なミッションのひとつはディアブロマンコーチングのインストラクターで、ライパでは海外レース経験も豊富な伊丹孝裕さんや鈴木大五郎さんがこれを担当する
PHOTO/S.MAYUMI, RIDERS CLUB TEXT/T.TAMIYA
取材協力/ピレリジャパン https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/homepage
マイベストの探求こそがサーキットでの醍醐味!
「公道走行におけるタイヤの適正空気圧は、車両メーカーが指定しており、これに合わせるのが鉄則!」こう話すのは、ピレリジャパンのディアブロマン。車両メーカーの指定空気圧は、公道のさまざまな路面状況やタンデムあるいは荷物積載などを考慮しつつ設定されており、安全のためにもこの数値を守りたい。
クルマだと「月に一度は……」なんて言われることが多いタイヤの空気圧チェックだが、バイクは使用頻度にムラがあるユーザーも多いため、「趣味でたまに乗るなら、出発前の冷間時に毎回チェックを!」とディアブロマンは強く推奨する。
バイク用のタイヤはクルマ用と比べて中に入る空気の容量が少なめ。一方でバルブ径はほぼ同じなので、ここから微量に漏れる空気も同等と仮定できる。そのため、タイヤ内部の空気量に対して漏れる空気量の割合はバイク用のほうが大きくなる。これもバイクは頻繁に空気圧チェックをすべき理由のひとつだ。
ちなみに、空気圧は高すぎても低すぎても燃費に悪影響を与え、高すぎると適切に潰れないためグリップは悪くなり、低すぎるとタイヤが壊れるリスクも生まれる。


一方、サーキットでは事情がやや異なる。前提として、サーキットは基本的に路面がきれいで、タンデムや荷物積載をすることもなく、メーカーが安全基準を設定する際の想定から外れた使用環境。このような理由から、車両メーカーの指定値よりも空気圧を下げることが多い。
サーキットで空気圧を下げる理由には、「タイヤが温まることで空気が膨張して内圧が上がりやすいので、走行中に最適な空気圧になるよう事前に下げておく」ことや、「空気圧をある程度下げると、路面の状態やタイヤの滑りなどを感じやすくなるから」などが挙げられる。
ただしディアブロマンは、「公道と同じくサーキットでも、低すぎればタイヤは壊れます」と忠告する。


そこで知りたいのは「どこまでなら下げてOK?」に対する明確な答えだが、「ライディングパーティのようなサーキット走行会では、さまざまなレベルのライダーが多彩な車種とタイヤ銘柄の組み合わせで参加しているため、ここまでなら絶対に安全と断言するのは困難」だと言う。
そしてだからこそ、このようにアドバイスする。「理由もなく空気圧を下げたがる人もいますが、フィーリングの違いがわからないなら、そもそも下げる必要がありません。一方で、空気圧の違いによるグリップ感やハンドリングの変化を感じ取れるレベルの人なら、自分好みの乗り味になる空気圧を、少しずつ下げながら探ってみるのもオススメです。とはいえ大きなリスクを避けるため、ミドルクラス以上のスポーツタイヤの場合、下限は指定空気圧の2割減程度にとどめておくのが無難。また、路面温度や気温などと一緒に、各空気圧で感じたことをメモなどに記録しておくと、後で参考になります。誰かのではなく自分のベストを見つけるというのも、レースではない走行会ならではの楽しさだと思いますよ!」

