【YAMAHA YZ450F】 カチパンでのスライドコントロール性も抜群!

毎年開催される新型YZシリーズのメディア試乗会。2026年型では、機能向上と新規パーツをふんだんに取り入れた旗艦モデルYZ450Fが注目を集めた。

PHOTO/T.Hasegawa 長谷川徹 TEXT/D.Miyazaki 宮﨑大吾
試乗コース/宮城県スポーツランドSUGO

カチパンでのスライドコントロール性も抜群! 車体、サス、吸排気変更&油圧クラッチ採用

今までのYZ450Fはどこか操安性に優しさがあり、突然立ち上がるような挙動を見せることがありました。わかりやすく言うと、例えばカチパンのドライ路面でスライドしている際、寝かし始めは良いのですが途中で安定感を失い始める瞬間があるというか、そんな印象があったのです。そうした特性がこの新型モデルではなくなりました。つまり、コーナリング中の安定感が非常に高く、先ほど話したスライド中のコントロール性も抜群に向上しています。安定感が変わらないことで安心感が増し、より攻めた走りが可能になったことを、今回のドライ路面のSUGOで強く感じました。

モードはTC(トラクションコントロール)を効かせてマイルドにすると、2速でもずっと走り続けられるほど扱いやすいです。結局4速には入れませんでしたから、「5速なんて誰がどこで使うのだろう?」と思ったほどです(笑)。

サスペンションは新車ということもあり、しっかりとした印象です。体重70kgの僕なら、もう少し柔らかくしたいところですが、これは減衰アジャスターの数ノッチで調整できるレベルです。初採用の油圧クラッチも扱いやすく、デメリットは感じません。マスターはやや大きい印象もありますが、これもメーカーが研究を重ねた結果の形なのでしょう。シート表皮のグリップ性も普段から気にしている部分ですが、性能は十分。全体的に見て、かなりの進化を感じました。

本誌岸澤IMPRESSION

最初の後方排気モデル、2011年型(最初期は2010年)のYZ450Fをモタード化して選手権に出ていたことがありますが、その頃のYZ450Fはシュラウドが幅広く、「ハンドリングのヤマハ」と言われるはずが「直線のヤマハ」と揶揄されていました。確かにパワーは当時のライバルの中でも群を抜いていましたが、扱いやすさという点では一歩譲る印象でした。

2025年型までのYZ450Fでは、スマートでコンパクトになったことが好印象でしたが、2026年型はさらに洗練され、よりスマートになった印象です。そして450ccなのに「乗れてしまう」。この「乗れてしまう」という感覚は、車体サイズの最適化もありますが、何より洗練されたパワーチューナーによるセッティングの賜物です。

「450ccなんて自分には無理」と思っている方も多いかもしれませんが、僕がホームコースにしているモトクロスヴィレッジのような短い直線でも、450ccのアドバンテージは十分に活かせます。「いつかは450!」と思っているライダーに、YZ450Fは最もおすすめできるバイクです。

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