
【今さら聞けない!】エンジンオイルの役割と交換タイミング
真夏の酷暑で劣化したエンジンオイルは秋の始まりに交換するのが適切なタイミング。快適な走りとエンジン寿命を守るために次のツーリングに出かける前に点検と交換をしよう
■ BikeJIN vol.273 2025年11月号
文/編集部
高温時に劣化しやすいエンジンオイル
エンジンオイルの役割は多岐にわたるが、バイクのエンジンはクルマ以上に厳しい条件にさらされている。というのも、限られた排気量から高出力を絞り出すために、高回転で回すことが前提になっているからだ。そのため熱でオイルが蒸発しやすく、冷える過程では空気中の水蒸気が水滴となって混ざり込み、劣化を早めてしまう。
オイル量のチェックは、クランクケース横にある小窓を覗くか、給油口キャップに付いたゲージで確認するのが一般的。どちらも難しい作業ではないので、走行前後にこまめに点検しておきたい。
交換時期の目安は、大型バイクのほうが長めに設定されている。小排気量モデルはオイル容量が少ないうえ、高回転域をよく使うためオイルの寿命が短いのだ。オイルは燃焼時のススを取り込むことで黒く汚れるが、それだけで性能が落ちるとは限らない。シフトが重く感じるようになったら、迷わず交換のサインと考えていい。
交換作業は決して複雑ではない。基本的な流れさえ覚えてしまえば、自分の手でメンテナンスできるようになるはずだ。
エンジンオイルの役割
①防錆
燃焼や気温差などで水分が発生するエンジン内部の表面に油膜を張ることで錆を予防
②洗浄
燃焼のカスや部品の摩耗で発生した金属粉などを吸着・分散し、汚れが堆積するのを抑止
③密封
シリンダーとピストンリングの間に入り込むことでわずかな隙間を埋め、気密性を高める
④冷却
部品同士の摩擦熱を、オイルにより吸収。水冷エンジンでもオイルは冷却の仕事も担う
⑤潤滑
ピストンとシリンダー、4ストバイクの変速ギヤなど、金属同士の摩擦を油膜で減らす
暑い時期はエンジンオイルが劣化しやすい

高温環境ではエンジンオイルの粘度が低下し、潤滑性能が低下する原因に。また、外気温が高いとエンジン自体も高温になるため、オイルの蒸発や分解、酸化が進むので交換の頻度を早めるなど対処したい
交換時期の目安
・5000〜1万km走行ごと
・出発前に残量を目視確認
起こりうるトラブル
・エンジンの不調や故障
・各パーツの錆びや腐食
・燃費の悪化
適合するオイルを確認
メーカー純正オイルが正解!
エンジンオイルは各メーカーが自社のエンジン特性に合わせて開発しており、純正オイルを使用することで最適な潤滑性能と耐久性を発揮される。添加剤の配合や粘度特性も設計段階から考慮されているため、純正オイルが推奨されている

JASO T903規格とは
日本自動車技術会が定めた二輪車用オイルの規格のことで、油膜保持力や摩擦特性(高い:MA、低い:MB※特性の違いで性能の高低ではない)など、バイク特有の厳しい検査基準が設定されている