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【プロに聞いた】下りコーナーが楽しくなる方法とは?

そうはいっても、技量・バイク・好み・走る場所、全部違う
でも「人それぞれ」なんて言ってしまえばそれまで……
今回、業界の皆さんに下りコーナーの攻略方法とは? を
一言で答えてもらうと、それぞれまったく異なった回答が!
皆様、ぜひご参考にしてください!

編集長モリの回答

編集長モリ
スピードには興味なし。景色やいろんなツーリングを楽しみたいから、最低限度のテクニックは必要だと思っている。ケド、難しいよね〜

A.気持ちの良い上りと同じように走る

いや、「どこのマリーアントワネットだよ」って言われるかもしれませんが、でもそういう結論が僕の中で今のところ腑に落ちています。気持ちの良い登りのワインディングを因数分解してみるとだいたい「スロットルちょい明け」、「ギヤが思ってるより高め」で走行していました。コーナリング中から自分の意思で推進力を入力していき、だんだんギヤが噛み合おうとするぎこちない「トットットッ……」からのエンジンの回転数とギヤがコーナーの立ち上がりにかけて噛み合いつつスピードが乗っていくあの感じ、が気持ちがいいと僕は思っています(皆さんは違う?)。

だから、下りでも同条件にすればいいんです! ということでそのためには曲がる前にちゃんと減速。30km/h→40km/hにスピードを上げつつ曲がるのが怖いのなら、20km/h→30km/hで曲がればいい。

僕が思うコーナリングの楽しさはスピードではなく、「バイクがバンクし、バランスしたままだんだんスピードが上がってく感じ」だと思っているので、40km/h でも20km/hでも楽しさは一緒。むしろ怖さが少ない分余裕があって、遅い方が楽しいと僕は思っている。っていうか、皆さんが走ってて怖いと思う時は、たいてい法定速度をオーバーしているよ。

マヒトの回答

マヒト
さまざまなバイクイベントにて活躍中。ツーリング中の所作の美しさはいつも見習いたいところ

A.減速シフトはしない!

“下りのコーナーを楽しく走る”、コレは俺も未だに難しい部分がアル。しかし、ひとつのコトに気付いてからソレを楽しむコトが出来る様になった。今回は、ソノ秘訣を書いてみる。コーナーに入る際に一番大切なのは減速なのダガ、よく見るのは、コーナー進入時に慌しく減速シフトを使ってエンジンブレーキを使おうとしている姿ダ。確かに教習所で習った覚えがあるし、昔のレースなんかを観ていると「ワン、ワン……ワァ〜〜ン」みたいなイメージもアルノデ、何と無くやっているノガ大半ダ。

エンジンブレーキは路面状況やタイヤコンディション、スロットルの煽り具合や速度等の不確定要素が多くて、一定の制動力を得るコトが難しい。ブレーキを上手に使った方が、考える要素や操作が少なくなってスムーズに減速が出来てしまう。操作が減って減速をブレーキ操作ダケに絞ると、コーナーリング時の考え事が減るノデ、コーナーの曲率、ライン取り、なんかに注意を向けるコトが出来てしまうノダ。立ち上がりでパワーが足りなかったら、ソコでシフトダウンすれば素直にパワーが立ち上がって行くゾ。リヤブレーキ先行でフロントブレーキを使うと、ツンのめる感じも減るから試してみてや。

多聞恵美の回答

多聞恵美
本誌うまいもんツーリング連載担当。軽井沢にあるバイクウエアショップ「Canarino」不定期店番。しっかり食べてしっかり走る温泉ソムリエ

A.焦ったときほどリラックス!

徒歩登山でよく言われる「下りのほうがアブナイゾ」というやつ。ほんまコレ、油断すると転倒リスクのみならず自重という名の負荷が膝を直撃! 連載・うまいもんツーリングは何故だか登山の機会が多いのでしみじみと身に染みて感じております(苦笑)。

で、私は正にバイクもそうだと思っていて。バイクだと上り坂で多少の操作ミスがあっても減速するだけで怖い思いをすることは経験上極めて少なかったですが、いざ下りで「怖い!」と感じようものならばその瞬間から、肩は強張り・ヒジは固まり・気持ちとは裏腹に“まるで曲がれる気がしない”フォームの一丁上がり……!

そんな恐怖を私が克服できたのは「怖がっている自分を自覚する」ことと「リヤブレーキを積極的に使う」を意識できるようになったからでした。スピードが出過ぎているなと感じたらまずはリヤブレーキを使ってじんわり減速、時にはギヤを落とすことも大事。そして特にコーナーで“怖い”と感じたら「無理やりでも笑う!」そうすることで今わたし緊張してたな、って自覚することでバイクと下り坂に振り回されそうになっていたカラダとキモチを、脳で乗り方を整えなおすキッカケにするというか。バイクは自分が操縦した通りに走ってくれる乗り物。固まった状態だと最適な判断ができないと思うので、とにかくこれを心がけています。

ライター田宮の回答

ライター田宮徹
仕事でも全国を飛び回り、サーキットもワインディングもバリバリ走る、ストイック系ライダー。全国の隠れた名店を知るグルメライダーでもある

A.右足の神経を研ぎ澄ませるべし

親しいバイク仲間たちとのツーリングで、「さっきの下り、めっちゃ面白かったよねえ!」なんて休憩時に発言して、頻繁に変態扱いされてきたワタクシ。だから自分の中に、下りへの恐怖心はない。

これまでに地球何周分もバイクに乗ってきたおかげで、上りならそれほど深く考えなくてもスムーズに走れちゃう。でも下りは、ブレーキングや車体姿勢、ギヤ選択やライン取りなど、上りと比べたらはるかに考えながら走っている。公道ではサーキットのようにトバすわけじゃないけど、そういう組み立てがすべてスパッとはまると、低い速度でも達成感が味わえ、それが楽しさにつながるのだ。

でも、やっぱり下りは難しい。だから、すごく頼りにしているモノがある。それがリヤブレーキ。下りは最初から前下がりの姿勢だから、フロントブレーキをかけるとつんのめる感覚で怖いけど、先にリヤを踏んで沈めておけば、進入での車体姿勢は落ち着く。これは旋回中も同じで、リヤブレーキを軽く引きずる程度なら挙動はほとんど乱れないから、前のめりすぎる姿勢を緩和できる。進入でやや失敗して旋回中に速度調整が必要なときにも、リヤブレーキで対処できる。

だから、リヤブレーキを上手に使えるようになることが、下りを楽しむための秘訣。繊細なコントロールを会得するため、信号などでの停止時にリヤブレーキのみを使うなど、普段からを練習しておくといいぞ!

ライター栗栖の回答

ライター栗栖
多くのバイクを試乗し、元はプレスライダーの過去から速さを求めていた時代を経て、今はセローでトコトコのんびりツーリングをしている

A.心にいつもセンターライン

下り坂のカーブ、とくに右カーブへの進入は誰だって怖い。

上りの場合はスロットルを操作するなど自分の意志でスピードを調整できるけど、下りは勝手にスピードが出てしまう。それを抑えるためにブレーキをかけるのだけど、いつも通りにフロント重視でかけちゃうとバイクはさらに前のめりになって恐怖をあおる。適切なギヤを選択してリヤブレーキ中心に減速してやれば、車体姿勢も安定させた状態でカーブへ進入できる。実際の速度に関してはライダーの技量やカーブの状況によりさまざまだけど、ボクはコーナリング中、車線の中央あたりを通るようにしている。

アウト・センター・センターっていうライン取りかな。下りの右カーブだとセンターラインに近づきすぎる傾向がある。これは怖がっている証拠。だから走りにも気持ちにもゆとりを持つ意味でも、リヤブレーキを効果的に使って適切なスピードまで減速し、コーナリングラインにも余裕を持たせるようにしている。狙い通りに走れたときは、とても良い気分になる。センターラインがない狭い峠道の場合は、路面状況を確認しながら左端から1 ~ 2mくらいのところを通るようにしている。とまあ、下り右カーブの不安を取り除くには、リヤブレーキとライン取りを意識して実践してやれば、だれでも簡単に下りスペシャリストになれる。

ライター谷田貝の回答

ライター谷田貝
バイク雑誌編集長を経て、現在は本誌の「深掘りバイク日誌」を担当するライター。リヤを滑らせて走る土系バイク、シチュエーションが大好物

A.不安ならタイヤを 路面に押し付けろ!?

よくバイクのインプレッション記事で見かける“タイヤの接地感”とか“トラクション”……なんて小難しい言葉の説明からスタートしますがご容赦を! 誰だってジャリの上をバイクで走るのは怖いもの。その理由は“滑りそうな不安定さ”を敏感に感じ取っているからで、誰もが“接地感のなさ”や“トラクションがかからない”ことは感じ取れるのだ。下り坂も一緒。“不安”とか“怖さ”には理由があり、それが克服できれば自ずと楽しくなるってワケだ。

僕の場合、下りで不安になるのはやはりフロントタイヤの接地感が希薄になった時だ。コーナー手前でブレーキを解除した瞬間にサスペンションが発生させていたタイヤを路面に押し付けていた力が抜けやすい。こうなると途端に“滑りそうに感じる”から怖いのだ。

まぁ、下りコーナーだろうと積極的にスロットルを開けられたら一番いいのだが、そうもいかない場合も多い。そこで有効なのが、“フロントブレーキの引きずり”だ。下りコーナーでは減速後も“かる~く”フロントブレーキをかけたままキープする。サスペンションを縮め、フロントタイヤを路面に押し付ける力を発生させたままにするというわけだ。こうするだけでフロントタイヤの接地感が大幅アップ。フロントタイヤの接地感が増すだけでコーナリングの楽しさは増大するぞ。

ライダースクラブ編集長河村の回答

ライダースクラブ編集長河村
スポーツライディングを追求する雑誌である姉妹誌「ライダースクラブ」の編集長。サーキット好きだからワインディング大好き、と思いきや……

A.下りは楽しむもんじゃない

初めて走るワインディングの下りコーナーを、楽しいと感じることなんてないですよ(笑)。先の見えないヘアピンなんで、常に怖いです。

バイクが一番安定するのは、スロットルを開けている時です。そしてコーナリングが楽しく感じるのは、重力と遠心力がバランスした時です。下りにはどちらもありません。

少々乱暴な言い方になりますが、コーナーを楽しく走るには、“慣れる”しかないと思っています。何度も繰り返し走って、対処方法を探るのです。フロントブレーキだろうが、リヤブレーキだろうが、それこそギア選択だって試しまくるんです。サーキットと同じですね。でもこれは、決してワインディングを攻めよう、という意味ではないですよ。お間違いなく。

楽しく、ではなく“安全に”走るなら、怖くない速度までバイクが起きている状態で減速して、フロントブレーキを当てたまま進入するイメージでしょうか。リヤブレーキとシフトダウンは、そのコーナー次第です。

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