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凝りに凝っていた表紙写真。一度だけ、泣く泣くボツにしたことが……

凝りに凝っていた表紙写真。一度だけ、泣く泣くボツにしたことも……

「既存のバイク雑誌とは一線を画す」が培倶人のコンセプトでしたから、表紙の写真にも徹底的にこだわりました。創刊号が軍服を着て凛とした風情で立つ髭の男性、2号が甲冑を着てバイクにまたがる男性と、毎回インパクトのある表紙だと話題になったものです。

だからこそ、表紙の写真を何にするかは毎号の最大の課題で、いつも「これでいこう!」と決まるまでに膨大な時間を費やし

たものでした。

頭が痛くなるほどスタッフたちと考えて考え抜いて決めていたのですが、想定したような写真が撮れなかったという大失敗が、実は一度だけありました。八百屋さんの店先でオジサンがSRのタンクとシートに手を置いて、ニコッと笑っているVol.5(2003年6月号)の表紙写真の裏側にあった秘話を本邦初公開します!

一般誌の書評欄に取り上げられた、Vol.9の表紙写真

鎧を着て竹藪の中でVMAXにまたがり前を見据える戦国武将の表紙写真

創刊号が軍服を着て斜光の中に凛とした様子で立つ髭の男性、2号が甲冑を着てバイクにまたがる男性と、本誌はバイク雑誌の枠に収まらないインパクトのある表紙写真に徹底的にこだわっていました。

だから毎回毎回、特に友枝康二郎さんが作る人形+バイクのオブジェに変更するVol.12までは、表紙の絵柄をどうするかに編集部は膨大な時間を費やしていたのです。

人形だとかなり自由度が出るのですが、さすがに本当の人物をモデルに使うとなると、衣装からシチュエーションまでを整えるのにも一苦労だったのです。

もっとも好評だったのが、Vol.9(2003年11月号)の鎧を着て竹藪の中でVMAXにまたがり前を見据える戦国武将の表紙写真。特集のタイトルも「ライダーの鎧 やっぱり革ジャン」で、マッチングもバッチリ。そのインパクトの強さからか、一般誌の書評欄に取り上げられたりもしました。

大成功例の陰には大失敗も

しかし、こんな大成功例の陰には大失敗もありました。

いつものように、会議で表紙写真を検討して、陸上競技のトラックのスタートラインでバイクと人が並んで、いままさに走り出そうとしているシーンにしようと決まりました。バイクは確かYZF-R1、ツテをたどって陸上競技場を借り、短距離走のライダーも手配してもらいました。

撮影当日は朝から雨。しかし、雨が止み、トラックも撮影には支障がない程度に乾き始めました。そして撮影開始。フォトグラファーがシャッターを切り続けるのですが、どうも構図が決まらないらしく、何度もポジションを変えながらさらに撮り続けます。

時間が経過し、競技場の借用時間が来て撮影は終了。フォトグラファーの顔に不安そうな影が浮かぶのをボクは見逃しませんでした。そして、ボクもとてもとても不安になったのです。

上がってきたその写真は......

当時はまだポジフィルムの時代で、現像所から写真が上がってくるのを待つ間、その不安はドンドン増していきました。そして、上がってきた写真を見た瞬間、血の気が引きました。

クラウチングスタイルで低く構えたランナーとリヤタイヤをスタンドで固定したバイクの大きさのバランスが最悪で、バイクからはスタートしようという雰囲気、気配が微塵も感じられません。完全なアイデア倒れ、あまりのダサさにおもわず大笑いしてしまったほどでした。

こんな経緯でできあがったのがこの表紙

八百屋さんの店先でオジサンがSRのタンクとシートに手を置いて、ニコッと笑っているVol.5

八百屋さんの店先でオジサンがSRのタンクとシートに手を置いて、ニコッと笑っているVol.5(2003年6月号)の表紙写真の裏側には、こんなドラマ(つまり再撮影)があったのです。

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