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[”火”を使いこなす!]LIGHT MY FIRE「火というものについて」

現代生活からどんどん離れていっているもの
それは「火」ではないだろうか
キャンプは火の暖かさ、優しさ、危なさを教えてくれる
その、またとない機会と言える
キャンプツーリングで火を使いこなしていこう

キャンプツーリングに出かけるとしよう。キャンプと普段の生活で一番違うのは何だろうか。家に相当するものは布製で、ジャック式の電気設備がない。これらも大きい要素には違いない。けれど、薪ストーブがある家を除いて、最も違うのは「火」ではないだろうか。

今の日本では、かまどで煮炊きをしている家などほぼ皆無で、つまみをひねれば無尽蔵と言ってもいいくらいに出てくるガス。増え続けているというオール電化の家では生の火を見る機会はまったくない。僕は東日本大震災の際に石巻にボランティアに行ったのだが、薪も炭もあるのに「電気炊飯器しか使ってなかったからご飯が炊けない」という家をたくさん見てきた。「大丈夫か! 日本のキッチン!」と思ったものだが、それが実情なのである。

そんな状態の人たちが、いざキャンプに行くとなると、いきなり生の火を使いこなす必要にせまられる。ご飯も鍋や飯ごうで炊かなくてはいけなくなるのだ。でも逆に言うとそれが楽しいし、自分のスキルを上げていくことの楽しさはバイクを乗りこなしていく楽しさとほぼ同じと言えるだろう。

確かに生の火を使うにあたって危険性はゼロとは言えない。それどころかBBQの炭にアルコールを注ぐようなことをすれば、簡単に死亡事故が起きる。刃物と同様に火が危険な道具であることは確かだ。でもだからこそ、さまざまな注意点を覚えて使いこなすことが大切になってくる。大きな自然災害が起きると予測されている中で、キャンプのスキルはサバイバルの大きな助けとなってくれる。鍋でご飯が炊けるだけでも立派なサバイバルスキルのひとつを獲得したと言えるだろう。

本連載ではこれから焚き火の仕方から後始末、各種野外用ストーブの使い方、野外での調理の仕方、目的に合わせた薪の組み方、着火剤など野外で火を扱う際の様々なトピックについて語っていこうと思う。

動物と人間の決定的な違いは何かと考えると、その答えは「火」に行き着くように思う。道具を使う動物はいくつかいるが火を使える動物はほとんどいない(実験的レベルではライターで火をつけ、「火を消してね」と言われればバケツの水で火を消すチンパンジーはいるが、それはかなり特殊な例だ)。火を使いこなすようになってはじめて、人間は人間になり得たのだと言えるのではないだろうか。

「火は人を3度温める」と言われている。まず「火にあたって暖かい」、次に「温かい料理を食べて身体が温まる」、最後は「火を見つめて心が温まる」だ。寒い夜、キャンプで焚き火をすると、まさにその3つを実感することになる。

ちなみに本連載のタイトルである「LiteMyFire ~ハートに火をつけて~」はドアーズの往年の名曲からお借りしている。僕が愛用しているユニークな野外調理用機器メーカーのブランド名にもなっている。

「焚き火ができないなら、キャンプになんか行かなくてもいい」という人がいるけれど、僕もまったく同意見だ。

麻紐はヒモとしても丈夫だが、ほぐせばとてもいい着火材になる。夏ならレンズで火起こしも可能。

おなじみZippoライター。僕は習慣としてではなく、仕事のひと区切りや趣味として、たまにしかタバコを吸わないので気がつくとオイルが飛んでしまっている。でもフタを開け閉めする時の「カキン!」という音は何物にも替えがたい魅力がある。

薪割りの道具と言えば斧とナタ 。大型の刃物なので扱いには注意が必要。

焚き火でご飯炊きと言えばコレ! と思っている人も多い兵式飯ごう。日本の物は中蓋で2合の米が計れるようになっている。写真のように実は海外にもほぼ同型の物がある。詳しい話はいずれ

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