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天気のミカタ【秋深まり雲海の季節。「濃霧注意報」はチャンス?】

(BikeJIN2022年12月号より抜粋)

季節が進んで朝晩はめっきり肌寒くなってきました
紅葉シーズンでもありますが
今の時季は雲海が現れやすい時季でもあります
カギは「雨上がりの高気圧」と「濃霧注意報」です

地上の霧は山の上から見れば雲海!

Writer

気象予報士 小杉浩史

SNS→https://twitter.com/Hirofumi_Kosugi

ウェザーマップ所属の気象予報士。現在、ミヤギテレビの情報番組・報道番組に出演中。休日はDUCATIのSuper Sportsで、東北の雄大な自然の中でのツーリングを楽しんでいます

先日、頑張って午前4時に起きて宮城県内のとある場所に出かけました。まだ外は日の出前で真っ暗、しかもその日は濃い霧が発生していて見通しも悪かったのですが、その霧こそが私の狙いでした。

霧とは空気中に小さな水滴が漂って見通しが悪くなっている状態で、現象としては雲と同じものです。すなわち広範囲に立ち込める地上の霧を、山の上から見下ろせば一面に広がる雲海になるのです。ということで雲海を見るには霧の出る日を狙えばいいわけで、私はその日、雲海を見たいがために明け方の霧の中を運転して出かけました。

じつは霧は秋の季語にもなっているくらい、今の時季に起こることが多い現象です。冬は空気が乾燥しているため霧が発生しづらく、夏だと湿度は高いけど朝の冷え込みが弱いためやっぱり発生しづらい。ほどほどに湿気があって、それがほどほどに冷やされることで秋には霧が多く発生します。

東京都心などでは霧が出ることは年に数回しかなくなってきていますが、山間部ではさほど珍しい現象ではありません。特に「低気圧がきて雨が降った翌日に、高気圧がくる」というタイミングだと霧が発生しやすくなります。

低気圧がきている真っ最中は雨が降るだけ。ただ低気圧が抜けた直後に高気圧が近づいてくると、地上には雨上がりの湿気が残りつつ、上空は雲が取れて天気が回復へと向かいます。晴れる日の朝は冷え込みが強まるため、残っていた湿気が冷やされて霧が発生しやすくなるのです。秋は低気圧と高気圧が交互にやってくることが多いので、雲海に出会えるチャンスは十分あると言えるでしょう。

*地域によって多少の差はあります

もし天気図を見るのが面倒な時は、気象庁が発表する濃霧注意報をチェックするのもひとつの手です。気象庁は、霧が発生しそうな時にはクルマの運転などに注意をしてもらうために前日の夜に濃霧注意報を発表してくれることがあります。それはすなわち雲海チャンス! 山の上に行けば壮大な景色に出会えるかもしれませんよ。

ただし2つだけ注意が必要です。1つは、霧の中は見通しが悪いので運転に注意をすること。そしてもう1つは目指す山の高さです。山の高さが足りないと山頂も霧に包まれ、ただ白いだけになってしまいますので、できるだけ標高の高い山を目指す方が確実でしょう。

ちなみに冒頭に書いた、私が雲海を見るために出かけた時の山は、標高が230m程しかなかったため山頂も真っ白なだけでした……(気象予報士なのに)。皆さまは私のようにならないようお気を付けを。

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