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【カラダ整備】ステップ⑥ 首や手首の痛みを緩和!

BikeJIN2023年6月号 Vol.244掲載

連載開始から前回まで、5回連続で腰痛の原因やその対処方法を話題の中心としてきました。これは、一般人からアスリート、そしてツーリングライダーまで、腰痛で悩んでいる人というのはとにかく多いから。そして腰はまさに身体の「要」なので、腰痛は人間のパフォーマンスを大きく削ぐことがあるからです。

しかし、ライディングで痛みを感じやすい部位というのは、腰ばかりではありません。そこで今回はまず、同じく多くのライダーがツーリングで感じやすい首の痛みについて、緩和方法を伝授しましょう。

前傾姿勢がキツめのバイクの場合はとくに、長時間のライディングで首の後ろ側が痛くなることがあります。首の力を抜いて上半身を前傾させれば、顔は真下を向いてしまいますが、これではバイクの進行方向をしっかり見られません。そのため、首を持ち上げる姿勢をキープし続ける必要があるわけです。人間の頭部というのはそもそもかなり重いのに、ライディング中は1.5㎏程度あるヘルメットを被っているので、さらに重さが増している状態。そんな頭部を首の筋肉で持ち上げ続ける“運動” を長時間続ければ、筋肉が緊張して当たり前です。

ですから、首の後ろ側にある筋肉を緩めてあげることが最大の対処法。ツーリングの途中なら、休憩時にヘルメットを脱いだときにストレッチをしましょう。

その方法は、上半身を直立した状態で顎を引き、後頭部に両手を添えます。そして手を前方に押して圧をかけ、首の前側にある筋肉を縮めて、後ろ側を伸ばします。手を添える位置を少しずつ変えると、首の筋肉に作用するポイントも少し移動します。注意点は、しっかり顎を引くこと。首が前後左右に動く状態で後頭部を押しても、首の筋肉に作用しません。

ヒトが日常生活で頭部を普通に支えていられるのは、前後左右の筋肉が無意識のうちにバランスよく作用しているから。そして、これは身体の仕組みの基本なのですが、片方の筋肉が「縮め」と命令されているとき、対になる筋肉には「緩め」という指令が届いています。ライディングフォームにおける首の状態なら、後ろ側が縮み、前側が伸びています。これをリセットできるのが、今回紹介したストレッチです。

ちなみに、デスクワークを長時間やる人も、同じような首の痛みに悩まされていることが多いと思いますが、このストレッチをすれば痛みは緩和されるかと思います。

ツーリング途中や帰宅後なら、後頭部を押す位置を3 ヵ所くらい移動しながら、1ヵ所につき7秒程度を目安に、2~3セットやるのがオススメ。このストレッチはトレーニングにもなるので、首を鍛えるのが目的なら、3セット以上を毎日やるといいでしょう。

また、長距離ツーリングでは手首の痛みに悩まされているライダーも多いようです。この緩和にオススメしたいのは、手首ではなく指先のマッサージ。腕を前に伸ばし、両手の指が手のひら側に入るように、指を交互に組みます。そして肘の内側が向かい合うよう肩を軽くすぼめて、指の横側をゴリゴリとマッサージしていきます。指に少し痛みを感じるかもしれませんが、それでOK。刺激するポイントを少しずつ変えて、指の先端から根元までマッサージしましょう。

末梢神経が刺激され、指先の血流が改善され、指先の関節が動きやすくなることで、手首も動きやすくなります。基本的に、治療というのは末端から順にやるほうが効果的。指を1本ずつマッサージしてもよいのですが、両手を組んでやれば一撃です。「痛いのは手首なのに指先をマッサージ!?」なんて思うかもしれませんが、ぜひ試してみてください!

このエクササイズでは、アゴの下や喉の左右にある筋肉を使う意識を持つようにすることがポイント。首の後ろ側にある筋肉を使ってしまうと、逆効果になるので注意したい。ツーリングの休憩時や帰宅後、あるいは日常生活でも、簡単にできるのがうれしい!

バイクのライディングフォームは、ほとんどの車種で上半身が前傾する。ライダーは前を向くために、首の後ろ側を縮めて前側を伸ばすことにな
る。この緊張をほぐすために、首の後ろ側を伸ばし、前側を縮めるストレッチが有効。あごをしっかり引いて頭部を抱え込む。押さえる場所を「頭の付け根」「後頭部」「脳天」の3カ所に分けてストレッチを行う

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