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【第9話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学「地図は読まなくてもイイ!?」


地図を使いこなすには慣れが必要だし
ナビやアプリがあればほとんどどこへでも行ける
「だからいらない」。果たしてそうだろうか。結論を出す前に
地図を持って出かけてみよう。意外な使い道があるかもしれない……

取材協力
昭文社
http://www.mapple.co.jp/

か、買うよね新年版!

皆さんこんにちは!
なにかと慌ただしく、気持ちもフワフワしてくる師走でございます。あっちこっちの忘年会に引っぱりだこの方もおられるのではないでしょうか。くれぐれも体調管理にはお気を付けくださいね。

ツーリングマップル新年版の編集もいよいよ佳境、大詰めの時期に差し掛かってまいりました。毎日ひいひい言いながら原稿や修正指示をまとめては投げ回しております。ひいひい。がしかし! このコラムを読んでいただいてる皆さんは、漏れなく全員が20年版を買っていただけるらしいと聞きました。いや~、ありがたいことです。それだけが励みです。

え、そんなこと言ってねえって? 分かってますよ、まだ3月まで今年度は続きますからね。今年版をお買い上げということですね。毎度ありがとうございます!……ってすみません、調子乗りました。

毎度くだらない前置きで恐縮ですが、今回は皆さんが本当に地図が欲しくなるように、ツーリングにおける地図の応用的な使い方や魅力をご紹介しましょう。

地図は見るな!

のっけから全否定ですね。なにを言ってるんでしょうワタクシは。初めての土地で地図なかったら分かんねえじゃん。これまでのコラムでも地図使え使えって言ってたじゃん。いえね、地図は持ってていいんです。持ってはいるけどあえて見ない。そういうことです。初めて訪れた土地を、予備知識を入れずに走るというのは、「純粋にツーリングを楽しむ」ためには、けっこう有効なんです。多少迷ったりしながら、カンで細い道に入ってみたり、道端の道祖神や碑に注目してみたり。それはとても開放的で、冒険心をくすぐられて、旅の「原点」みたいなものが感じられます。情報が溢れる社会だからこそ情報をシャットダウンする贅沢があります。あ、もちろんスマホもダメですよ。地図もスマホもカバンにしまってください。「いつでも見られる、調べられるけど見ないオレ・ワタシ」を楽しむのです。五感で感じて、面白いものや、ステキな景色の発見を喜びとするのです。

ふむふむほうほう ジワジワムフムフ

さて、そうやってある程度楽しんだところで、いよいよ「答え合わせ」的に地図を開いてみます。するとどうでしょう。いま通ってきたのはこの道かな、あの時見えた山はこれだったのか、という「ふむふむほうほう」が味わえるのです。これ、やってみると分かるんですが、だんだんジワジワきて、ムフムフしてきます(語彙力)。

そして今度は地図で周辺から、面白そうなものを見つけましょう。腹が減ってたら喫茶店やレストランへ行ってみるのもいいですね。地元の歴史ありげな神社にお参りして、異形のモノと対峙する妄想をするも良し、温泉に浸かって桃色の出会いに期待するも良し。

こうして「地図を持っている」ことで、ツーリングが3倍も楽しめるわけです。どうです、地図欲しくなってきたでしょう?

地図は出会い系ツール

あれ、まだ欲しくならない?はいはいほかにもあります。地図の使い道。実は地図は人を呼びます。
例えばソロツーリングで立ち寄った道の駅で、ツーリングマップルを開いて困った顔をしてごらんなさい。ほら、ライダーが声をかけて来ましたよ。

「こんにちは〜」
「あ、どうも……」
「今からどこ行くんですか」
「いや、迷ってて……」
「この辺、今紅葉してますよ」
「へえ〜良さそうですね」
「ここのそば屋も旨くて」
「なるほどなるほど」
「今から行くんですけど」
「そうなんですね」
「おひとりですか」
「ええ、まあ」
「じゃ一緒にどうですか」
「いえ、ワタシ人見知りなんでその、遠慮しときます」

……って一緒に行かんのかーい!
まあ、無理して付き合わんでもね、いいとは思います。ただ厚意を断るときはていねいにしましょうね。変なトラブルにならないように。誘う方も過剰な期待はせずに。でももしかしたら意気投合して一生の友になれるかもしれない。地図のおかげでそんな出会いがあることも確か!

そこまでいかずとも、例えば地元の人に道を尋ねたり、オススメを聞いたり、っていうときに、手ぶらじゃ声かけづらいし、相手もちょっと警戒します。スマホじゃ一緒に見るには小さすぎるし、やっぱり地図があると、「様」になるし、ひと目で「ああ、この人何か探してるんだな」ってのが分かりますから、相手も準備がしやすくなります。宿でもフェリーでも、同じようなことが言えます。地図は「旅人感」を演出する、重要アイテムなんですよ。

地図という物体

まだまだ使い道、ありますよ。
ゴロゴロした石場でちょっと休憩したいときにはミニ座布団になるし、コーヒーを載せるトレーにもなるし、立ち寄ったトイレに紙がかった緊急時には……いや、それはやめときましょう。

とにかく持ってて損なし、読まなくてもいざという時役に立ち、方向音痴でも読んで楽しいし、好
き勝手に書き込める。まだまだ地図の魅力はあると思います。だから使ってみてくださいね~。「私たち地図で結婚しました」なんて声、待ってます!

この「旅人」感は、地図があるからにじみ出るカッコよさ

目をふと上げ、遠くを見つめる。シブい。地図は持っているだけで良いのだ

Twitter:@touringmapple_s

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