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【第5回 】アウトドアMONOローグ「ケトル」

BikeJIN2022年10月号(Vol.236)掲載

泊まりのキャンプ以前にぜひオススメしたいのが
数回のデイキャンプ、つまり日帰りの外遊びだ
そこで用意したいものは、前回紹介したイスと
今回紹介するところのケトルこと、ヤカンである
外で飲むコーヒーは、また格別の味だから

 前回はキャンプに行く前に買っておくといいモノとしてイスを紹介したのだが、今回はその次の段階だ。「バイクでキャンプに行くぞ! キャンプ道具を揃えよう!」と決めた時に、多くの人が最初にテントを買ってしまうのだが、僕のオススメはそうではない。テントこそ最後に買うべきモノであり、その前に買うべきモノはたくさんある。実生活にしてもそうだろう。借家住まいを経てから家を買う。いきなり家を買う人はそうそういない。テントは野外で使う家なのだから、じっくり吟味をして、よく考えてから買うべきもので、勢いでポチっと買ってはいけないものなのである。

前回と同じ話だが、いきなり泊まりがけのキャンプに行くのではなく、ツーリングの延長としてデイキャンプに何度か行ってみることをぜひオススメしたい。それで「アウトドアで過ごす時間が本当に楽しい、自分に合っている、やっぱり泊まりがけのキャンプに行きたい!」そう思うようになってからテントやマット、シュラフ(寝袋)を買っても決して遅くはない。それが僕のオススメのキャンプへのアプローチ方法だ。

 ではイスの次にデイキャンプ用に買うべきモノはなにかというと、僕が食いしん坊なせいもあるのだが、それはケトル、そうヤカンである。外で飲むコーヒーは実にうまい。それがたとえインスタントであったにしてもだ。今はカップさえ用意していれば美味しくいれることのできる簡易ドリップのコーヒーもある。カップラーメンにしても、家で食べるのとは大違いだ。なぜ外で食べるだけでこんなにうまいのか、の問いにはこう答えたい。「風が極上のスパイスになっているから」だと。

 その湯沸かしのために必要になるのがヤカンである。クッカー(キャンプ用の鍋)でもいいじゃないか、という人がいるかもしれないが、お湯を少しずつ注ぐのはクッカーよりヤカンの方が圧倒的にやりやすい。しかもキャンプ用のケトルというのはクッカーの中に収納しやすいように設計されているものが多いのだ。この機能性なども、キャンプグッズ特有の楽しさと言える。

 しかしここで「コーヒーをいれるにしてもカップラーメンのお湯を沸かすにしても、火を起こさなくちゃいけないじゃないか。キャンプストーブ(野外用の調理用燃焼器具、バーナーとも言う。)も一緒に買わなくちゃいけないんじゃないか」という声も聞こえそうだ。しかし、石で小さなカマドを作って焚き火をすればストーブは必要ないし、ベテランになればなるほどストーブは持っていってもバックアップ的にしか使わなくなる。なによりも、焚き火を使いこなすのは理知的野外遊びの極みであり、とてつもなく楽しいことだからだ。

 とは言っても、最近は直火禁止のキャンプ場もずいぶん増えているし、雨の次の日は薪となる枝も湿っている。最初のうちはストーブに頼るのも仕方ないかも。というワケで、次回はストーブの話である。

一杯のお茶やコーヒーは本当に心を和ませる。欧米のサバイバルパックには紅茶のティーバッグが入っていることが多い。身体を温めることもさることながら、「お茶をいれる」というルーティーンな一連の行為をすることで、気持ちを落ち着かせ、これからのことを冷静に考えられるようになるという重要な効果がある
昔のトランギアのケトルは蓋の裏にネジが付いていて、同じスウェーデンのアウトドアメーカー、プリムスの2243バーナーが取り付けられ、ケトル内に格納できるようになっていた。こういうコラボ的な発想をすることはとてもいいと思うのだが
トランギアのストームクッカー内にぴったり収まっているケトル。このようにクッカー内に収まるように作られているケトルは多い
キャプテンスタッグのケトルはクッカーとしても使用可能。僕のはチタン製だが今は廃番。同形状のステンレス製モデルは現行品
パーコレーターは中のユニットを外せばケトルとして使用可能。カップラーメンを食べてから、おいしいコーヒーが楽しめる

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