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【第16話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学 「地図編集者になりたい!?」Part2


地図作りの中でも大きな意味を持つ「図取り」という段階は
家づくりで言う「設計」がイメージとして近いだろう
事前の環境調査・情報収集が特に重要となる

取材協力
昭文社
http://www.mapple.co.jp/

きましたね...

こんにちは! きましたね。なにがって、マスクや10万円じゃなくって、夏です夏。妄想にふけってる場合じゃないですね。リアルな旅を、楽しみたいものです。まあしかし、余計なトラブルに遭わないよう、自分にも他人にも、最大限リスクを避け、安全・安心を大切にしましょうね。

といったところで早速、前回の続きです。

基本の地図=都市地図

前回の記事で、「図取り」(=地図をどういう範囲・どういう縮尺で切り出すかを決めること)が、地図の骨格形成であり、地図作りで最も面白い部分のひとつであることをお伝えしました。今回はその点について、詳しく解説していきたいと思います。

昭文社の地図編集部に配属されると、大抵まず「都市地図」という、市町村ごとの大判1枚ものの地図を、イチから作ることになります。都市地図は、数ある地図の中でももっとも基本となるもので、これを通して「地図」のいろはを学んでいくわけです。

なにはともあれ土地を知らなきゃ始まらない

さて、地図編集部に来たアナタに、上司から「A市の都市地図を作って」というミッションが与えられました。まず、なにをしますか?

A市が何度も行ったことのある場所や、地元であればまだイメージも湧きますが、行ったことも聞いたこともない市の可能性もあるわけです。となるとワケが分からないですよね。なので、まずは情報収集から始めましょう。

位置や広さ、市の形といった外形的な部分だけでなく、人口や交通網、市街地の様子や、観光スポット、公共施設にはどんなものがあるのか、市民はどこで買物しているのか、どんな歴史があるのか、などなど、とにかくたくさんの情報を仕入れます。主にネットや、ガイドブック、自治体のパンフレット、統計データなどを使いますが、もちろん、現地に行ってみるというのも一つの手です(すぐ行ける距離ならば)。

周囲にも気を配る

また一方で、隣接市町村との関係も大事です。歴史・地勢・商工業・交通などの面で隣町とのつながりが深いなら、併せて収録することも検討します。たとえば「巨大なショッピングモールが隣の市にあって、週末はみんなそこに行っている」のであれば、収録したほうがいいかな、とか。

実は、これには地図の収益性も影響します。1つの地図に1つの市町村を入れるよりも、2つの市町村が入っている方が、買ってくれるお客さんが増えます。都市地図の購入者は、住人もしくはそこで働く人が大半ですから、売上も、収録市町村の人口規模にある程度比例するのです。

ただし、そこには落とし穴があって、「たくさんの市町村を入れればたくさん売れる」というものではありません。たくさんの市町村を1図に詰め込むと、それだけ縮尺が小さくなり、情報量も減り、見たいところが見られなくなり、都市地図としての利便性は落ちます。そうなると「これだったらいらない」と、買ってもらえなくなるかもしれません。

だからと言って、とにかく大きな縮尺・詳しい情報を優先して、人口が少ない単独市を1図に収録すると、採算性が悪くなります。1部数千円〜数万円と、現状の何倍も高い値段設定になります。定価が上がれば当然、買ってくれる人は減ります。

我々はあくまで商売をしているわけですから、そういうことも考えねばなりません。

……う〜む。

といった感じであれこれ悩み、様々なパターンをシミュレーションします。

図取りに正解はない

結局のところ、なにが正解なのかは誰にも分かりません。ユーザーにも様々な人がいて、一覧性を重視する人、詳しい情報を重視する人などいろいろです。また、仕事で使うのか、生活のために使うのかによっても重視するポイントは変わるでしょう。

ある人は賞賛してくれても、別のある人からはコテンパンに叩かれる、地図編集者にとってはよくある話です。

だから、何年かに一度、見直し・改訂を行っています。結果、ほぼ同じ図取りになることも多いのですが。

次回は、本のタイプの地図の図取りについても触れてみたいと思います。よろしくお願いします。

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