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【第五話】グレートセントラルロード(2)ラクダ、自然発火、先住民族に出会う

砂漠地帯でラクダに出会う

初めまして!合田紘之と申します。
愛車のアフリカツイン750で世界中を走る夢を叶えるため、30歳を目前に新聞記者を辞めて、第1弾として2017年12月からオーストラリア一周を始めました。
オーストラリアはカンガルーが飛び出してきたり、世界中のライダーと交流できたりなど、日本では想像もつかないことが沢山あって面白い!
退職したばかりで足が地に着いてない状態で、バイクにまたがっても身長が低くて足が地に着かない状態ですが、海外ツーリングが日本人ライダーにとって少しでも身近なものと思えるように魅力を伝えていきます!

グレートセントラルロードを走り始めて2日目の1月5日。この悪路を早く抜け出したいという思いで早起きし、5時に出発した。出発して早々、これまで走っていたノーザンテリトリー州から西オーストラリア州に入る境に到着した。

西オーストラリア州との境

エアーズロックで会ったドイツ人ライダーが「西オーストラリア州に入ると路面が少し良くなる」と言っていたので希望を持って走ることにした。
聞いていた通り、西オーストラリア州からは水たまりも少なく、路面が締まっている場所が多く走りやすかった。といっても何があるかわからない。スピードを抑えながら、前に進む。すると、前方に十数頭のラクダの群れが現れた。ちょうど道路を横断しているところ。このラクダが野生なのか飼育されているものかはわからないが、砂漠地帯でラクダを見られるなんて貴重な経験ができた。

ラクダが道路を横断

こんなところに日本人

オーストラリアには集落のない地域でもロードハウスと呼ばれる商業施設が点在し、ガソリンや食品、日用品、車用品を販売するほか、宿泊施設も併設しているところもある。グレートセントラルロードも例外ではなく、だいたい300kmごとに存在する。給油するために入ってみると白人の若い女性が働いていた。先住民族のアボリジニの集落であることから、地元の人ではないと思い、どこから来たか尋ねると、「オランダよ。ワーキングホリデービザで来ているの。あなたは?」と問われる。すかさず日本から来たと伝えると、何なら店の奥に向かって人を呼び始めた。すると日本人の青年が表に出てきた。

ロードハウスで働いていた日本人とオランダ人

この何にもない道で人と会話する機会さえほとんどないと思っていたのに、まさか日本人と会えるとは思わなかった。ワーキングホリデービザでオーストラリアに訪れ、インターネットで求人を探してこの店を見つけたという。「給料がよかったので」とここに来た理由を話すが、アボリジニのお客さんと流ちょうな英語で仲良さそうに話している。きっと給料以上に得るものがある仕事なんだろう。すごい経験をしている日本人だ。彼と少し雑談をし、水道から10リットルの水を汲ませてもらい、ロードハウスを後にした。

猛暑で自然発火

午後になると気温は40度を超えてきた。青空には雲一つなく日差しをジンジンと感じながら前に進む。そんな中、前方の林のあちらこちらで煙が上がっているのが見えてきた。最初は焚火をしているのかと思ったが、この辺に集落はない。

道の向こうには森林火災の煙が見える

さらに近づいてみると、広い範囲で森林火災が起きていた。おそらく高温や乾燥による自然発火なのだろう。火災が起きているすぐ横を通ることもあり、さらに熱を感じながら走らなければならなかった。
この道を走っている間、数か所で火災があり、自然の恐ろしさを思い知らされた。
この日は道が多少良くなったこともあり、460kmを走った。そして、また野宿をした。

道のすぐ脇で森林火災

アボリジニの家族と給油待ち

3日目も早朝に出発。ガソリンを給油するためにロードハウスに到着したが、開店時間の9時までまだ2時間もあった。ガス欠になるわけにいかないので、仕方なく店の前で待つことにした。

少しするとアボリジニの家族が車でやってきた。彼らも給油をしたかったようで一緒に待つことに。お父さんと話をすると、800km先の都市部まで遊びに行き、自分たちの集落に帰る途中という。小学生くらいの男の子がアフリカツインに興味を示したので、跨らせてあげると笑顔で喜んでくれた。男の子がバイクが好きなのは世界共通なんだなと嬉しくなった瞬間だった。

アフリカツインに跨るアボリジニの男の子

1000km走破。そして愛車に愛着

この日もダートを430kmを走り、ラバトンという小さな町に到着した。3日かけてダートを走り抜き、舗装路に入るとなんとも言えない安心感が込みあがってきた。もう転倒を恐れながら走る心配はなく、多くの車とすれ違うことができることが、どれだけありがたいかを知った。

そしてアフリカツイン750の実力を思い知らされた3日間だった。荒れ気味の路面を250ccのオフロードバイクのような感覚でリヤタイヤを滑らせながらも走ることができ、舗装路に戻ればツアラーのようにゆったりとツーリングできるバイクなんで数少ないのではないか。これまで以上に愛着が湧いてきた。

2日目の野宿地

1000kmにわたってダート、そして水たまりの中を走ったバイクは泥だらけ。ラバトンのキャラバンパークですぐに洗車し、これからも長い付き合いができるようにねぎらった。

地平線を望みながら走るグレートセントラルロード

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