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【ツーリングガイド】能登半島最果てを目指し、食と自然を堪能する旅

人の営みと文化、自然が共存する能登半島・輪島
輪島塗や、朝市、白米千枚田など観光資源も豊富なエリアだ
バイク乗りの走る楽しみと心を満たす
ライダー歓迎の都市をツーリングしてきた

能登半島にはグルメと文化が詰まっている

能登半島の先っぽにある輪島市が「ライダー歓迎の都市」を宣言しているそうだ。僕は、バイクでどこかに出かけるときはどこに行くにしてもマイノリティであるという自覚からか「おじゃましている」という感覚がある。バイクを停めるにしても駐車場の端っこの遠くのほう、邪魔にならない空いてるスペース。ほかのお客様に迷惑とならぬよう、できる限り目立たずに。そんな感覚だから「ライダー歓迎」なんて真正面から言われたら、喜んで向かってしまうではないか。

そんな輪島市までは東京から高速道路を乗り継いで約6時間といったところ。距離的にも、スポット的にも、泊まりは必須だ。1日目はほぼ移動日となり「どこで夕日をみようかな」くらいに思っておきたい。そして、可能であれば2泊はしたいところ。

能登と聞いて編集モリが思い浮かべるのは、冒険家・風間深志さん(輪島市のモーターサイクル親善大使でもある)が主宰するラリーイベントであるSSTRに取材で参加した日の思い出だ。日本で唯一砂浜を走ることができる道「千里浜なぎさドライブウェイ」にて日本海に沈む夕日を眺めながら快走し、その次の日に「能登半島の一番先っぽに行こう」とふと思い立ち、白米千枚田を目指したのだった。


DATA

白米千枚田

問:輪島市交流政策部観光課
TEL:0768-45-1001
http://senmaida.wajima-kankou.jp/

久しぶりに見た千枚田は記憶よりも雄大で、空と海、田んぼの緑のコントラストが美しさを際立たせていた。10月下旬〜3月上旬にはイルミネーション「白米千枚田あぜのきらめき」もやっているし、夕日のスポットでもあるので、季節や時間をあらためて再訪する必要がありそうだ。

まずはココを走ってから能登半島へ!

千里浜なぎさドライブウェイ

言わずと知れた、石川県を代表する絶景道。日本で唯一砂浜を走ることができる道として人気を博す、長さ8㎞ほどの道。海によりすぎるとスタックして転倒必至なので注意が必要。天候状況により通行止めの場合があるので事前の確認は忘れずに。

今回、僕は千里浜なぎさドライブウェイを経由し、国道249号を通るルート、つまり能登半島のシーサイドを時計回りに走るコースを選択した。「のと里山海道」という無料のバイパスがあるので最短で輪島市にアクセスすることもできるが、せっかくバイクで来たのならば能登半島のシーサイドをぜひ走っておきたい。

そんな海沿いにある道の駅 赤神は「ライダー歓迎」を体現するスポットだった。入ってすぐ、道からも分かる位置に駐輪場が見える。軽く傾斜があり出し入れがしやすく、縦幅もあるのでどんなバイクでも、雨の日でもゆったりと乗り降りできそう。そして、そんな施設でいただけるのがライダー必食「バイ喰うカレー」だ。

DATA

道の駅 赤神(バイ喰うカレー950円)

石川県輪島市門前町赤神壱-110
TEL:0768-45-1001
営業時間:9:00〜17:00
定休日:火曜

車輪を表す2つの真ん丸メンチにボリューム満点のトッピング、食器はやはり輪島塗である。長旅に疲れた身体に染み込む懐かしい味のカレーだった。「ホントはね、このポテトに見立てた灯台がここから見えるんだけど」と教えてくれた店員さんが、あいにくの天気を一緒に残念がってくれた。

そこに広がっているであろう景色を想像しつつ、今回のバイクであるトライアンフ・ストリートスクランブラーを眺めていると「やっぱり、ライダーさんは自分のバイクを見るのが好きだねぇ」と先ほどの店員さん。

聞くと、食事処から見える位置に駐輪場を設置した方もライダーだそうで「バイク乗りは愛車を見ながらご飯を食べたいもの」と言ってこの場所に決定したそうだ。景色とバイクが一緒に眺められるロケーション、バイク乗りのためのメニュー。僕らが立ち寄らない理由はない。

今日の晩御飯は「輪島ふぐ」だ。なんでも、輪島市は天然ふぐの漁獲量が全国一位。さまざまな飲食店でふぐ料理をいただくことができる。今回宿泊した「能登・門前 ファミリーイン ビュー・サンセット」でいただいたのは、刺身や唐揚げ、バター焼きなど計7品のふぐ料理がいただけるコース(要予約)。ほぼすべてのふぐ料理が味わえるといっても過言ではなく、1日目の締めとしては大満足。

こちら、ふぐ料理の統一料金のコースとして作られており、提供しているお店それぞれの色をだした3300円のふぐ料理を提供してくれるもので、訪れた際はぜひ食べていただきたい。提供店は市内に9店ほど。予約を忘れずに。

DATA

能登・門前 ファミリーインビュー・サンセット

石川県輪島市門前町千代29-58
TEL:0768-42-2050
宿泊料金(1泊2 食付き):
1 万3350円〜
日帰り入浴料:520円
https://view-sunset.com/

早朝、引き続きシーサイドを快走しやってきたのは、佐賀県の呼子、千葉県の勝浦と並び「三大朝市」と呼ばれる輪島朝市。昨今の影響で店舗数は減ってはいるものの、活気のある声は響く。

ここで干物や新鮮な魚介、そして輪島塗などのお土産を探すならここが最適なのではないだろうか。「お兄ちゃん、トンビが狙ってるから気を付けて」。思わず買い食いしたまんじゅうを手に持ちながら歩いていると、そう教えてくれた。「よかったらみてってよ」とも言われた。輪島の方言の耳心地がよく、思わず(まんまと?)足を止めてしまう。そんな現地の人との何気ないやり取りが意外と久しぶりなことに気が付き「輪島を旅してるなぁ」となんだかうれしくなってしまった。

DATA

輪島朝市

問:輪島市朝市組合
TEL:0768-22-7653
https://asaichi.info/

能登半島のシーサイドは複雑に入り組んでいるためカーブも多彩で、アップダウンも激しいので景観も抜群。そして信号が少ないので走りごたえは十分すぎるほど。さらにクルマ通りも少ないので、満足度の高いツーリングができるはずだ。

能登半島の真ん中を横切る農道でも同様の走りごたえで、政策だけじゃない、ツーリングライダーを満足させるに値する景色、走り・そしてグルメが輪島にはあるということを改めて知ることができた。そしてライダーの休憩スポットが点在していたり、市がライダーのために駐輪スペースをしっかりと用意してくれていたりするのもライダーとしては大きなポイントだと思う。

せっかく能登半島に来たのだから、輪島市内を抜け、千枚田眺めつつ、シーサイドを駆ける。目指すべきは禄ろっ剛こう崎ざき。つまり〝先っぽ〞だ。ライダーなら最先端を目指すのが礼儀というか、性サガみたいなものだ。禄剛崎のふもとにある道の駅 狼煙で最先端証明書を手に入れ、目的を果たす。が、ひとつ問題が出てきた。少し進んだ先にある珠す洲ず岬みさきも〝先っぽ〞を名乗っているのだ。


DATA

道の駅 狼煙(禄剛崎)

石川県珠洲市狼煙町テ部11 / TEL:0768-86-2525
営業時間:8:30〜17:00 / 定休日:年末年始
https://asaichi.info/

ライダー的にはSSTRで有名でもあり日本海に開けている禄剛崎が先っぽな気がするが、珠洲岬の方曰く、渡り鳥が海を渡る際に最後に本土で羽を休める場所が珠洲岬なので先っぽは珠洲岬とのこと……。この「どっちが先っぽなのか問題」は少々根深そうなので、ぜひ訪れたアナタ自身で判断していただきたい。

最後にひとつ、怖気づいて、今回買うことができなかった1万円を超す輪島塗のぐい呑み、ようやく買う覚悟ができた。酒飲みとして、ライダーとして、再訪をここで誓っておきたい。

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