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その時銘品は生まれた(Vol.1)

【今回の逸品】キャンピングシートバッグ2

万人が認めるバイク用品の定番&人気ギア「銘品」は
いかに生まれたのか。その裏側を探る連載がスタート
第1弾は、今やツーリングのマストアイテムとなった
大容量シートバッグの先駆けである
タナックス・キャンピングシートバッグ2をお届けしよう

単純に一番デカいバッグにやりたいことを全部盛り!
「フロオケ」から始まり20年売れ続ける怪物バッグ

「発売した当初、実はあまり売れなかったんですよね」
 意外な話を切り出したのはタナックス営業部の重田真利さんだ。

 初代キャンピングシートバッグは、テントを積める大容量はもちろん、両サイドオープン機構、可変システム、ボトルホルダーなどの装備を満載。今では当たり前となった大型シートバッグの元祖であり、バイクキャンパーの大多数が選ぶほどの人気バッグだ。

 企画が始まったのは99年。まだタンクバッグが主流の時代だった。「二輪用品店で〝一番大きいバッグをください〞と尋ねるお客様が多いと聞いたことが開発のきっかけです。

そこで〝単純に一番でかいシートバッグをつくろう〞というのが最初のコンセプト。他社製品で容量60L程度のバッグがあったので、75Lを目標にしました」

 製品開発の際、タナックスでは担当者がまずイラストを描く。市販版に通じる基本装備は既に盛り込まれていたが、話し合いながら、Dリング、着脱式ポーチなどを加えていった。

「弊社のスタッフは実際にキャンプに行く人間が多い。全員が集まってワイワイとやりたいことをぜんぶ盛り込んだ感じです」

 開発では「強度」に苦労した。「非常にテンションがかかるので、各部にリベット留めや二重三重縫いの箇所があるのですが、多すぎるとコストアップを招く。一方で、タンデムシートにフィットしてズレを防ぐために底面をソフトにしなきゃならない。強度と柔らかさのバランスに悩みました」

 また、巨大なだけに安定して積むにも工夫が必要だった。ゴムバンドによる積載が当時の主流だっ
たが、車種によっては装着が難しい。

そこで当時、他の製品で初採用したワンタッチバックル+固定ベルト4本による画期的な装着方法を導入し、問題を解決した。

 最初の試作は見たことのない大きさだったので「フロオケ」と呼んでいたとか。実走テストを重ね、4回ほど試作を重ね、01年から市販化した。

 冒頭のように当初は売れ行きが良くなかったが「たまたまアメリカの通販会社が取り扱いを始め、向こうで大人気になったんです」。

発売5年後には国内でも存在が認知され、セールスが伸長。発売から現在までの20年間、一度も前年の売れ行きを下回っていない。

「当社の中でもコンスタントに長く売れ続けている製品のひとつ。まさにロングセラーです」と胸を
張る。なお04年から現在の2にバージョンアップしたが、初代からの変更点は耐久性の向上を目的としたバックルの大型化と、上面に収納袋を追加した程度。

近頃はドリンクホルダーを500から670㎖にサイズアップしたり、固定ベルトの余り部分をまとめられる面ファスナーを追加するなど地道な改良を重ねているが、基本設計は20年以上変わらないというから驚く。それにしてもここまで人気になると予想できたのだろうか?

「思っていませんでしたね(笑)」
 人気の理由を尋ねてみると、営業部の佐藤亮太さんは「徹底して使う人目線であることと、価格に対して機能が満載というバランスですかね」と分析する。

 確かに実際使ってみると、かゆい所に手が届く機能が揃いながら2万円台という価格に驚かされる。最初は売れなかったにせよ、人気が出るのは必然だろう。近頃は原材料も上昇し、現在の価格を維持するのが厳しくなってきたが、手頃な価格を維持したいという。

 重田さんも「自分で使っても便利。客観的に見ても買わないともったいない(笑)。それほどメーカーとして自負があるんです」

 自負の裏側には、40年以上バッグを造り続けてきたタナックスの膨大なノウハウと、アイデアを形にできる柔軟な風土、そして我々と同じ目線でいいモノが欲しい!という情熱がある。逸品は生まれるべくして生まれたのだ。

キャンピングシートバッグ2

価格: 2万5300円
カラー:ブラック
サイズ:350×620×350 ㎜(最小時)
350×820×350 ㎜(最大時) 容量:59〜75L

BikeJIN2021年12月(Vol.226)掲載

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