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【キャンプで”火”を使いこなせ!】LIGHT MY FIRE「ライター&マッチ」

焚き火の着火だけでなく
圧電着火装置のないストーブやランタンは
ライターやマッチが必要になる
喫煙者が減っている今日この頃では
忘れたらとんでもないことにもなったりする
そんなライターとマッチの話をしよう

BikeJIN2024年5月号 Vol.255掲載

子供の頃、テレビで西部劇を見ていて「靴底でマッチを擦ってタバコに火をつける」シーンになぜかとても憧れた。で、自分でも家にあるマッチでやってみた。でも、軸が折れたりするだけで一向に火はつかない。

親に聞いたら昔はできたらしい。でも時々事故があってそれからはできなくなったと言われた。でも、カッコイイから真似したい。ポーズだけでもいい。で、どうしたかと言うと、マッチ箱に付いている茶色いヤスリ紙(正式には側薬とか横薬と呼ぶ)を、靴の裏のへこんだところに貼り付けた。西部の男きどりでシュッとやって、友達に「そのマッチ俺にもくれ」と言われたりもした。子供の頃のマッチの思い出だ。

できた当初のマッチは頭薬に黄燐を使用した「黄燐マッチ」で、何に擦っても火が付くものだったのだが、マッチ同士が擦れて発火し、よく火事になったらしい。おまけに黄燐のもつ毒性が健康上でも問題になり、そして作られたのが今ある側薬と頭薬の組み合わせからなる「安全マッチ」と呼ばれるものだ。

軸を厚紙製にしたブックマッチは表に喫茶店やスナックなどの店名と住所や電話番号が印刷され、大手メーカーでも販促用として使われたが、今はもう見ることがほとんどない。世の中の禁煙の流れのためだろう。

室内で使用する際には大して問題にならないが野外ではマッチを濡らしてしまうということも往々にして起きる。マッチ自体もそうだが箱に付けられた側薬が濡れてしまうと点火できなくなってしまう。だからアウトドア用のマッチには黄燐マッチの危険性を排除しつつ、ザラザラしたものに擦りつければ着火が可能なマッチや頭薬にコーティングを施した防水のマッチも存在する。

ライターはガスライターとオイルライターが主流で、最近は充電式のプラズマ(アーク)放電ライターもあるが、これは紙巻タバコ専用と言ってもよく葉巻や焚き火の着火などには使えない。オイルライターではイムコ、ロンソン、ジッポーが有名だ。中でもオイルライターの代名詞とも言われるジッポーは様々な装飾を施したケースのおかげでコレクションアイテムにもなっている。

風にも強く、ケースは頑丈で、さらには永久保証付きで人気の高いジッポーだが、欠点はオイルが揮発しやすく頻繁に燃料補給が必要になるという点だ。特に毎日の喫煙習慣がない僕のような人間は使いたい時にはたいていタンクが空になっている。

ガスライターならこんなことないのに、と思っていたらジッポーからガス式のインサイドユニットがリリースされた。お気に入りのケースに入れ替えればターボガスライターのジッポーに早変わりだ。ただしガスライター特有の弱点もある。低温下では圧電着火の火花が飛ばなくなってしまうのに加えて、ガスの気化率も下がり、結果使えなくなってしまうのだ。

シンプルなフリント式オイルユニットなら寒い野外でもきちんと着火する。どちらにしても悩みはあるのだった。

❶野外では風で火が消えないように手で囲って点火する。喫煙者が多かった頃はほぼ常識だったこの動作も、今は知らない人が多い。

❷SOTOのスライドガストーチ。火口を伸ばすことができるので、焚き火の際に組んだ薪の奥にある焚きつけに火をつけるのに便利。僕のは旧タイプ。

❸ザラザラしたものなら何に擦っても火が付くマッチ。頭薬の先の白いポッチが鳥の目のようなので通称バーズアイマッチと呼ばれる(手前)。防水加工が施されたウォータープルーフマッチ(奥)。

❹ジッポー社純正のガス式インサイドユニット。火口が1個のものと2個のものがある。

❺喫煙具で有名な拓殖製作所のパイプタバコ用ライター。一見100円ライターのように見えるがガスの補充も可能。火口の向きを変えることができ野外でも重宝する

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