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【キャンプで”火”を使いこなせ!】LIGHT MY FIRE「焚き火」

「焚き火のないキャンプなら行く気にならない」
この意見には大賛成だ
「焚き火がしたいから、わざわざキャンプに行く」
こう言い換えてもいいくらいだ
そのくらい「焚き火」は魅力にあふれている

BikeJIN2024年1月号 Vol.251掲載

バイクと焚き火と言えば、思い出すのは映画「イージー・ライダー」だ。アメリカでは1969年、日本でも1970年に公開され、バイク乗りでなくても映画好きなら一度は見ておくべき映画とされている。

ステッペンウルフによる主題歌「BORN TO BE WILD(邦題:ワイルドでいこう)」も大ヒットした。バイクで旅するふたりの男を描いたロードムービーで、バカ長いフロントフォークを持つ「チョッパー」と呼ばれるバイクが象徴的に使われている(主人公ワイアット、ニックネーム:キャプテン・アメリカの乗るバイクには前輪ブレーキすら付いていない)。この映画のテーマは「自由」であり、自由を追求する者は最後には農民にショットガンで撃たれて殺されてしまうのだが、この時代、世間から見るとバイクに乗ること自体がすでに「ろくでもないヤツのすること」だったのだ。

印象的な焚き火のシーン。ワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)、そして旅の途中から加わった弁護士ハンセン(ジャック・ニコルソン)が廃墟のような場所で焚き火を囲んで話す。保守的なアメリカ南部の田舎町では髪が長いだけで邪険にされ、安モーテルにさえ泊めてもらえないのだ。ジャック・ニコルソンがふたりに向かって言う。「世の中のみんなは、お前たちが自由なのが気に入らないんだ」と。テントも張らずに焚き火の脇でゴロ寝するという行為が剥き出しの自由を象徴していた。

もうひとつ、バイクは出てこないが効果的に焚き火が出てくる映画で思い出すのはスティーブン・キング原作の「スタンド・バイ・ミー」だ。仲のいい少年4人が死体探しの旅に出るというのがストーリーで、これも同タイトルの主題歌が有名だ。途中、焚き火を囲んで順番に話をしながら夜がふけていく。挽肉をこねただけのハンバーグを枝に刺して焼いたりしながら。仲のいい友達とのキャンプは最高だというのがストレートに伝わってきて、普段はソロのキャンプツーリングしか行かない僕も、見るたびに古い友人を誘ってキャンプに行きたくなってしまう。

そう言えば、アメリカかどこかの環境ビデオに「延々と焚き火の炎だけが映っている」というものがあって、なおかつそれが結構売れているのだと聞く。まるで冗談のような話で「オイオイ、それでいいのかよ」と言いたくなるのだが、それでも「見て癒される」という効果はあるのだろう。

前回も書いたのだが「火は人を3度温める」と言われている。まず「火にあたって暖かい」、次に「温かい料理を食べて身体が温まる」、最後は「火を見つめて心が温まる」だ。寒い夜、キャンプで焚き火をすると、まさにその3つを実感できる。エアコンの効いた部屋で、パソコンやスマホの画面で炎の画像を見ているだけでは決して味わうことのできない体験だ。焚き火がやめられない理由がまさにここにある。

❶木の枝がシルエットになるような時間からが焚き火のメインタイムとなる。踊る火の粉を見ているだけで、時間はどんどん過ぎていく。

❷「大きめの空き缶?」と思うくらいのサイズの小さな焚き火台もある(ソロストーブ/ライト)。2重構造になっていて燃焼ガスを効果的に燃やす優れものだ。

❸串に刺したソーセージをあぶるだけでも極上の夕食になる。まさしく「シンプル・イズ・ベスト」の具現。

❹コーヒーカスを乾燥させて灯油かライターオイルを染み込ませれば着火材になる。密閉できるミニボトルに入れて持ち歩く。3~4泊ぐらいなら十分対応可能。チューブ式のアルコール系着火剤より断然スマートだと僕は思っている。

❺麻ヒモをほどいてフンワリまとめるとこれも格好の焚き付けになる。麻ヒモは強度も高く、細引きロープのバックアップとしても最適だ

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