
世界最速2スト”じゃじゃ馬マッハ”|昭和バイク/KAWASAKI・750SS
ホンダCB750FOURに対抗するため、Z1の登場を前に急遽投入されたカワサキの2ストローク・マシン「750SSマッハⅣ」。じゃじゃ馬の異名を持ちながら、実は扱いやすさと加速性能を兼ね備えた“世界最速”の一台だった――
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時代のあだ花なんて呼ばせない強烈な魅力の駿馬
カワサキZ1の開発は60年代から始まっていた。ところが先にホンダから1968年の東京モーターショーでCB750FOURが出てきてしまう。それで方向転換を余儀なくされ750ccで考えていたところ900ccとし結果として1972年に1973年モデルとして発表、発売された。そのZ1が登場するまでの間、カワサキは大きな北米市場でイニシアチブを取るためホンダCBに速さで勝るモデルを急遽用意することにした。
そうして2ストローク並列3気筒499 ccの500SSマッハⅢをベースに、748 ccにした750SSが1971年に発売される。これでホンダCBから世界最速の座を取り上げた。74PSでCBに勝り30kgほど軽い。500SSから慣用句のように”じゃじゃ馬マッハ”と表現されるが、実際にそんなことはなく、振動はあれど怖さはない。特にこの750 SS、マッハⅣは排気量UPによる低中回転域のトルク特性によって乗りやすく当然ながらアクセルを開けると気持ちいい加速も十分に堪能できる。
どうしても4ストロークより燃費が悪く排ガスで不利だったことで、排ガス汚染の問題化やオイルショックによって1975年モデルで終了してしまったが、そのエポックエンジンやスタイル、乗り味から現代も熱狂的なファンがいる。