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【カッコよく走りたい!】ワインディングを上手に走るための補完計画③ブレーキの正しいタイミングとは?

旋回での車体姿勢調整もブレーキに与えられた役割

ヤマキ:さっきの、サーキットと公道のブレーキングの違いとは?

タミヤ:話を単純にするために、ストレートエンドにヘアピンカーブがある状況で説明するね。

ヤマキ:はい、お願いします!

タミヤ:このとき、ストレートで早めに減速を終わらせるのは、公道もサーキットも同じ。

ヤマキ:サーキットは、奥まで突っ込むんじゃないんですか?

タミヤ:たしかに公道と比べたらそうなんだけど、いま言いたいのは、ブレーキングを開始してからどこで強い制動力を発揮させるかということ。よく、最初にちょっとブレーキを握って、コーナー直前で握り足すなんて人を見かけるけど、それは間違いということだね。

ヤマキ:つまり、ブレーキングを開始したら、早めに制動力を引き出すということですね!

タミヤ:そう。でもだからといって、減速開始時に〝カン〞とか〝コツン〞といきなり全力で握ると、衝撃でフロントサスが一気に縮むから、車体姿勢を乱す要因になりやすいんだ。だから入力の初期はそっと、でもなるべく素早く最大効力を発揮させる。これは、ビチャビチャに濡れた雑巾を絞るとき、いきなり最大限に入力すると広範囲に水が飛び散るけど、いつまでも力が弱いとしっかり絞れないのに似ている。

ヤマキ:あ、やってみたらちょっとイメージが掴めました!

タミヤ:で、早めに効力を立ち上げてある程度減速したら、コーナー進入に向けて入力を弱めていく。

ヤマキ:ずっと最大だと、コーナー手前で失速しちゃいますもんね……。で、レバーを放したところでバンクさせるわけですね?

タミヤ:そこがサーキットと公道でやや違うところ。サーキットだと、フロントブレーキを引きずったまま車体を寝かせ始め、進入のラインに乗せていくのが基本なの。

ヤマキ:どうしてですか?

タミヤ:フロントブレーキでフロントフォークを縮めると、キャスターが立った状態になる。これはつまり、バイクの旋回力をより引き出せる状態なんだ。

ヤマキ:ちょっと難しい……。

タミヤ:そういうものと思っておけば十分。で、上手な人は、フロントブレーキを引きずることでこの状態を適度に保ちながらコーナーにアプローチして、一般的なヘアピンカーブでは進入より意外と奥のほうにある、最大バンク角で鋭く曲がるポイントにつなげるんだ。

ヤマキ:なるほど。それなら公道もそのほうがいいじゃないですか!

タミヤ:もちろんこれは、公道でも使えるテクニック……なんだけど、ちょっと問題があるんだ。それは公道の路面は、サーキットのようにいつもキレイなわけではない。つまり摩擦円の半径がコロコロと変化するんだ。

ヤマキ:摩擦円とは?

タミヤ:タイヤが発揮できる前後方向と左右方向のグリップを、サークルで示すのが摩擦円の概念。例えば、深いバンク角で横方向に多くのグリップを使っていると、前後方向に使えるグリップが減る。

ヤマキ:それは、感覚的になんか分かるような気がします!タ:上手なライダーは本当に微妙なフロントブレーキ入力が可能だけど、ヤマキにこれをさせたら、間違ってかなり制動力が残ったまま車体を寝かせ始めそう。それだとタイヤの前後方向グリップを多めに使っているから、滑りやすい路面で摩擦円が小さい瞬間には横方向に使えるグリップが少なく、なにかの拍子に転倒なんてことにもなりかねない……。それならまずは、直立状態でブレーキをリリースして、安全な状況でコーナーに進入することに徹したほうがいいと思う。

ヤマキ:ちなみに僕は、リアブレーキをいつも軽く踏みながらコーナーに進入しているんですが……。

タ:キャスターを立てるということからすれば、リアを沈めるのは真逆の操作。エンブレの代わりになるし、車体の後方を引っ張ってもらうような安心感も生まれるけど、長い下りの峠道でずっとやっていると、リアブレーキがフェードする可能性も……。効果的に使うならまだしも、ずっと掛け続けるのは推奨できないね。

ヤマキ:でも、やっぱりなんらかの効果は生むんですね。それなら、ずっと踏むのはNGとして、やっぱり引き続きリアブレーキも練習しないと!

タミヤ:もちろん、車体姿勢づくりやバンク中の速度調整、ドン突きによる影響の緩和など、リアブレーキでできることは多いよ。でも、スポーツライディングでの減速ということなら、先に覚えるべきはフロントブレーキ。だって、リアブレーキが発生する制動力は、せいぜいフロントブレーキの3割程度。仮にリアの制動力を1 0 0%引き出せたとしても、フロントを50%使えるほうが、ちゃんと止まれる!

ヤマキ:なるほど。つまり〝ブレーキ〞としてまとめるんじゃなく、役割をしっかり分担させるべきなんですね!

  • 安心感や車体の安定は生まれるがブレーキフェードなどのリスクも……
  • そもそもハングオフの右コーナーではリアブレーキ操作が難しくなりがち

今のヤマキは、車体が安定してスムーズにコーナリングできる気がするので、リアブレーキをかるーく踏みながらコーナリングしている

カッコよくスムーズに走るためのブレーキングはコレだ!

まずはフロントブレーキがしっかりかけられるようになろう
(速度をしっかりコントロールできるようになること)・次点でリアブレーキ

大半の車種は、リアブレーキで発生できる制動力が、フロントブレーキの30%程度。安全に走るためには、効率で考えたらフロントブレーキを確実に使えるようになるべきだ。ブレーキは止まるための装置でもあるが、スポーツライディングでは速度調整と車体姿勢づくりこそが役割。まずは速度を意のままに調整できるようになることを目指したい。

結論

  • 減速区間の早い段階で車速を落とす意識で!
  • フロントブレーキは直立に近い状態で使う

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