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ハーレー和尚のバイク説法「善星皆来(ぜんせいかいらい)」

*2023年4月号から抜粋

バイク寺として親しまれる大阪府能勢町にある「妙見宗総本山 本瀧寺」の執事長。40歳の時に大型二輪免許を取得。ショベルに乗るハーレー和尚として、バイク講話など交通安全普及に努める

 本瀧寺のシュウケンです。私ごとですが、先日地元の警察署から「春の交通安全運動でなにかしてもらえないでしょうか」というお話がありました。私になにができるかはまだ分かりませんが、少しでも交通安全に役立てばと考えております。また、4月1日には、4〜5年ぶりに当寺で“ご祈祷ミーティング”を行います。個別でのバイクやライダーへの祈祷も行っておりますが、当寺に参られるライダーの「もっと気軽に多くの人がご祈祷を受けられないでしょうか」という相談から始まったのがご祈祷ミーティングです。形は色々ありますが、このように一人でも多くのライダーに、交通安全を意識してもらえることは有り難いです。

4月1日に行われる本瀧寺のご祈祷ミーティング。個別でも行っているバイク車両前祈祷をもっと気軽にとの要望から始まったライダーのための祈祷。ハーレー和尚が車両やライダーの交通安全を祈願してくれる。時間など詳細は本瀧寺まで

 ご祈祷と聞くと、神社をイメージする人もいらっしゃるかと思います。しかし、なにかを祈るという気持ちに神仏は関係ありません。五穀豊穣や国家安泰、個人で言えば無病息災や家内安全など、昔から人の力を超えたものにお願いごとをすることは、仏教や日本だけではなく恐らく世界中で行われてきたことです。

 私が祈祷の時に唱える『善星皆来(ぜんせいかいらい)、悪星退散(あくせいたいさん)』もそうです。星とはその人の運勢や運命のことで、つまり良い運勢を招いて、悪い運勢を追い払う意味が込められています。節分の豆まきの「鬼は外、福は内」も同じような意味で、鬼は病気や災害などの厄災を象徴し、福は幸福などを指します。お寺や神社に限らず、私たちはご祈祷のようなことを日常的に行なっているのです。

 しかし、ご祈祷さえすればすべての願いが叶う訳ではありません。あくまで仏は努力する人に対して力を添えてくださる存在なのです。そして、その人の努力だけではどうにもならない時に力を貸してくださいます。よくご祈祷の際のマナーやルールについて聞かれることがあります。普段の参拝と同じで特別なものはありません。もちろん真剣に願うことは大切ですが、願いを叶えるために努力することこそが重要なのです。

本瀧寺で毎年2月の第1日曜日に行われる「節分星祭り」。厄除けや無病息災、開運招福などを祈願する妙見宗最大の行事

 僧侶の私が言うことではないのかも知れませんが、今回のご祈祷ミーティングや個人などでご祈祷を受ければ、それだけで無事故無違反という訳にはいきません。無事故無違反を意識して、安全運転を心がけるという行動が一番の交通安全なのです。ただ、ご祈祷を受けようと考えることが、すでに交通安全を意識している証拠です。そして実際にご祈祷を受けるという、行動こそがまずは交通安全への第一歩となるのではないでしょうか。


合掌

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