能登はやさしや、風までも……

30年前、初めて訪れた能登半島で感じた“人と自然のやさしさ”。時を経て、再び注目を集めるこの地は、今もライダーを温かく迎えてくれる。荒れた道の先にも確かにある、変わらない風と笑顔──能登を想うライダーの旅エッセイ

■単車俱楽部 2025年10月号
PHOTO&TEXT:武田大祐 RIDER:栗栖国安

30年前の記憶に残る、やさしき能登との出会い

約30年前、初めての能登半島にロケに行くことになった時、地図上で改めて眺めてみると「ここだけ日本海に飛び出していて、なんとも不思議なところだな」と思い、大量のポジフィルムを積んで行った覚えがある。奥能登に至ってはなんの知識も大した情報もなかったのだが、来てみたらびっくりで、素朴な漁港に青い日本海、緑の水田に塩田まであった。そして出会う人は皆優しく、日本の裏側にこんないい場所があったのか!と感動しっぱなしでフィルムはみるみる減っていった。まあ、裏側といっても太平洋側から見た言い方であって、そもそも昭和の初め頃まで海運の主流は日本海だったのだ。で、その時、この半島に「能登はやさしや土までも」という言葉があることを知り、なるほど、なんともピッタリの言葉で、ライダーにとっては「能登はやさしや風までも」になるか…なんて思ったものだ。

さて、そんな能登半島が大変な状況にある。先日、能登半島ツーリングから帰ったばかりの仕事仲間によると、復興へはまだほど遠い様子で、荒れた路面や通行止の箇所も多かったようだ。それでもライダースハウスや地元はウエルカムで、能登半島を味わえたとのこと。というわけで、今の能登半島を知る旅もよし、復興を遂げた時の半島を走るもよし、何事も百聞は一見に如かずで、能登のやさしい風に存分に吹かれるとしよう。

奥能登を訪れること数度、季節、天気、陽の角度、ライダーの技術、そのすべてそろい、納得のいくカットが撮れたのはこの時だけ。なかなか手ごわいですが、それが能登半島のいいところ。また挑戦しにいこう

カメラマン 武田 大祐
約27年にわたりツーリングシーンを撮影しているカメラマン。自らもライダーとなって日本各地やオーストラリア・バハ半島・サハラ砂漠縦断の旅をしている。
Instagram/igdta1140japa

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