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【第九話】キャサリンで日本人ライダーの足跡に出会う

初めまして!合田紘之と申します。
愛車のアフリカツイン750で世界中を走る夢を叶えるため、30歳を目前に新聞記者を辞めて、第1弾として2017年12月からオーストラリア一周を始めました。
オーストラリアはカンガルーが飛び出してきたり、世界中のライダーと交流できたりなど、日本では想像もつかないことが沢山あって面白い!
退職したばかりで足が地に着いてない状態で、バイクにまたがっても身長が低くて足が地に着かない状態ですが、海外ツーリングが日本人ライダーにとって少しでも身近なものと思えるように魅力を伝えていきます!

日本人の雑記帳

オーストラリア北部中央のキャサリンにある宿「Coco’sバックパッカーズ」に1月25日にたどり着いた。

バックパッカーズの外観

宿のオーナーに日本から来てバイクで回っていることを告げると、4冊のノートを差し出された。そこにはたくさんの生き生きとした日本語の文章が綴られていた。何でこんな小さな町に?

「Rider’s Visitors Book」。バイク乗りのための雑記帳で、主に2000年代前半に訪れた日本人がオススメの道や観光地、宿泊場所などを記し、自身の旅やバイクの紹介をしながら情報交換をしていた。100人以上が書き込んでいるが、徐々に書き込みの頻度が少なくなり、2011年を最後に途切れていた。

ライダーズビジターズブック表紙

オーナーによるとかつては毎晩10~20人の日本人が泊まっていたそうで、ノートには旅の途中で出会ったライダーにこの宿を紹介してもらったという書き込みも多い。今回のツーリングでこれまで出会った日本人ライダーはレンタバイクで走っていた一人だけで、今では想像つかない。昔のオーストラリアツーリングが盛んだった時代を垣間見て感動した一方、時代の変化に虚しさも感じた。

ライダーズビジターズブックの中身

「アリは友、ハエは恋人」

ノートを詳しく読んでいると、ダートを走っていてフレームが折れたなどのトラブルの話や、バイク初心者に向けたパンク修理の方法、長期滞在者に向けた仕事の紹介など様々なことが書き込まれている。何気ない旅の話でも「自分も気を付けよう」と注意喚起になるものや、「あるある」と共感できる書き込みも多い。

「アリは友、ハエは恋人」。
とくに説明もなく大きく記されていた一言。一番印象に残った書き込みだ。一見ふざけたような書き込みだけど、これを書いた人の気持ちがしみじみと伝わってきた。オーストラリア北部をキャンプしながらツーリングしていると、足元は大量のこれをアリにたかられては噛まれ、たくさんのハエが水分を求め目などをめがけて飛んでくる。おそらくこれを書いた人もこの辛さを皮肉って書いたのだろう。10年以上前の書き込みだが、時代を超えて先人たちと心が通じ合った気がした。

新ノートを製作

先人のライダーたちが作り上げた文化。このともし火を消すわけにいかないと思い、5冊目のノートを製作した。

新しいライダーズビジターズブック

新しいノートをオーナーに渡すと、喜んでお礼を言ってくれた。今後どれだけのひとが書き込むかわからないが、ツーリングライダーの支えになればと思う。

雨が続いていたこともあり、この宿に3連泊。

バックパッカーズ内の様子

オーナーの好意で屋根のある場所にバイクを停めさせてもらい、オイル交換やプラグ交換をさせてもらった。バイクも自分もリフレッシュできた3日間だった。

プラグ交換の様子

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