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【第七話】インド洋を見ながら西海岸を北上

初めまして!合田紘之と申します。
愛車のアフリカツイン750で世界中を走る夢を叶えるため、30歳を目前に新聞記者を辞めて、第1弾として2017年12月からオーストラリア一周を始めました。
オーストラリアはカンガルーが飛び出してきたり、世界中のライダーと交流できたりなど、日本では想像もつかないことが沢山あって面白い!
退職したばかりで足が地に着いてない状態で、バイクにまたがっても身長が低くて足が地に着かない状態ですが、海外ツーリングが日本人ライダーにとって少しでも身近なものと思えるように魅力を伝えていきます!

奇石群「ピナクルズ」

1月17日、パースを出発し、人生で初めて見るインド洋を左側に見ながら西海岸沿いを北上する。パースから約200km進み、砂漠に無数に浮かぶ奇石群「ピナクルズ」に立ち寄った。石灰岩層の大地が長い年月をかけて風化され、残った一部が塔のように妙な形になったという。

本来はこの奇石群のすぐ横のダートをバイクで走ることができるのだが、この日は雨が降り路面の状況が悪かったため、舗装路の終点にある駐車場から5分ほど歩いてピナクルズを眺めた。

ピナクルズ

さらに北上を進めると、景色ががらりと変わってきて、西海岸はいろいろな顔を持つことがわかる。エメラルドブルーの海のすぐ近くは砂漠がある。木があっても背があまり高くないことが多く、森林の中を泳ぐように走ることができる道もある。
日本のように山があまりないのは少しさみしい部分だが、視界を遮るものがない分、小高い丘を越えるときにはバイクに乗りながらでも地平線まで広がる広大な大地を一望できる。一つ一つの変化を楽しみながら前に進んだ。

広大な大地を見下ろす道

森林を泳ぐように走る道

炎天下でまさかのガス欠

パースを後にして4日がたち、相変わらず炎天下の中を走っていると、急にアフリカツインのエンジンが止まってしまった。スロットルの反応がスカスカになる感覚からしてガス欠だ。
アフリカツインの燃費はリッター23kmで推移していて、燃料タンクも23リットル。一度の給油で500km以上走る計算だったが、まだ460kmしか走っていなかった。燃費が悪くなっていたのだ。北上したことによる猛暑の影響?じめじめとした湿度の影響?それとも緯度の変化によるものなのか?理由はわからないが、まず今をどうにかしなければならない。気温は40度ほど。近くに日陰もなく、ここにいるだけでも体力を消耗する。

ガソリンスタンドが30km先にあることはわかっていたが、バイクを押してスタンドにいくのはあまりにも現実的ではない。残された選択肢は、①ガソリンを積んでいる車を探して分けてもらう、②ヒッチハイクでガソリンスタンドまで送ってもらい、ヒッチハイクでバイクまで帰ってくる、のどちらかだ。まずは通りがかりの車にガソリンを持っているか聞くことにした。

幸い、通行量は少なくはない。通りがかる車に向かって手を振って止まってもらい、事情を説明する。運よく5台目に止まってくれた人が、携行缶に入ったガソリンをもっていて分けてもらうことができた。「ガソリン代を払う」と言うと、断られた上に、冷たい水まで分けてくれた。
手を振って助けを求めると全て車が止まってくれた。前々から感じていたが、オーストラリア人は親切な人が多い。感謝の気持ちをかみしめながら再出発した。

冠水した道を行く

オーストラリア北部は熱帯雨林性の気候で、11月から3月にかけて雨季だ。洪水の心配は尽きない。内陸を通って観光地であるカリジニ国立公園に寄って北上しようとしたが、洪水のため通行止めで断念。海岸線沿いの主要道路は通行できるが、要注意とのこと。
実際に走ってみると、ブルームという街の手前50km地点で冠水した道路に直面した。

冠水した道路

向かいから走ってくる車は激しい水しぶきを上げている。バイクでここを通るのか…。少し憂鬱な気分になりながらも、足元が濡れても大丈夫なようにサンダルに履き替え、ズボンのすそをまくって走った。
この道では500mほど冠水している場所が3か所あり、深いところで40cm程度。水の中を時速10kmで走行しても、ものすごい水しぶきが車体や足にかかるので、さらに速度を落として進んだ。

後から聞いた話だが、この一週間後、周辺では断続的に大雨が降って洪水に見舞われ、長い間通行止めが続いていたそうだ。もし1週間遅かったら、長期間の足止めを余儀なくされていたのだろう。不幸中の幸いだったのかもしれない。

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