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【ツーリングガイド】自然の息吹と海の恵み。冬ツーリングの新定番はここにあった! -1-

2020年の冬、天草・南島原エリアをツーリングしてきた
信号が少ないシーサイドを緩やかに走ることができるという
ライダー目線の魅力はもちろん、海の恵み・自然の息吹・歴史的文化など
魅力がたっぷりのエリア、ライダー冬の新定番が見つかった!

魅力あふれる天草・南島原 その実態を確認!

2020年も終わりに差し掛かるころ、編集部モリは熊本空港へ降り立った。目的は九州の冬ツーリングスポットのひとつである天草、そして南島原へ行くためだ。今回のざっくりした日程はこうだ。熊本空港から市内にあるカワサキプラザ熊本にてバイクをレンタル、そこから下道を走り天草市へ。そしてフェリーで長崎県・南島原市へと渡り島原半島を走り、また天草へ戻りそのまま熊本市内へ帰るというルート。

2泊3日の日程で、空・海・陸という3つの交通手段で移動する。とくにフェリーは普段とは違う旅情を味わえるので個人的には好きだ。そしてここを訪れたきっかけのひとつ「冬ならライダーは天草・南島原へ行く」という情報。そんなポテンシャルを秘めている天草・南島原エリアは走ったことがなかったので、今回はライダーを虜にしているこのエリアをフェリーで効率よく周ろうと思う。

さて、カワサキプラザ熊本にてZ900RSを借りて走り2時間と少し、市街地を抜け、有明海を横目にいくつかの橋を渡ってたどり着くのが天草市だ。

そこでまずは天草最高峰である倉岳(682m)に登ってみる。今回のツーリングのエリアである天草を俯瞰で眺めるためだ。狭い山道を抜け、頂上にある倉岳神社からの景色は絶景の一言。海に浮かぶ島々、漁をしている船、ぽつりぽつりと見える町。そんな、島国ニッポンの原風景と穏やかな雰囲気をまとう鳥居。なにかものすごくありがたい気分にさせてくれる場所だった。ちなみに山頂から少し下ったところにある駐車場からはバイクと一緒に天草の島々と写真が撮れるのでぜひ訪れたい。

倉岳神社

この天草エリアでは最高峰の682mの倉岳の山頂にあるのがこの倉岳神社だ。取材時は昼、正面に太陽が来るので若干逆光気味だった。朝夕の方が景色を見やすいかもしれない。

DATA

熊本県天草市倉岳町棚底
TEL:0969-64-3111
https://www.t-island.jp

天草市は熊本の一番西に位置し、大小120余の島々からなる天草諸島の天草上島、天草下島をはじめとする島々で構成されている。面積はざっくり日本最大の湖である琵琶湖と同じくらいの大きさだ。熊本市街からの距離は東京の感覚で言えば東伊豆や南房総あたり、日帰りで走るには少し頑張って走らないといけないくらいの感覚だろうか。

ただし、天草市に入ってしまえば眺めのいいシーサイドは信号もほぼなく快走。島のカタチに合わせて曲がりながら、終始気持ちよく走ることができる。

取材当日は冬本番の12月末にもかかわらず比較的温暖で8℃くらい(12月の気温は5~10℃ほど)、天草最高峰の倉岳の山頂に立って初めて「寒い」と感じたくらいだ。もちろん山道には凍結などの注意は必要だと思うが、メインの幹線道路はほぼシーサイドなので、問題ない。「冬でも比較的温暖で走りやすい」コレがライダーに好まれる要因の一つだろう。

天草エリアの快走シーサイド 国道389号

天草の西側、東シナ海を横目に海抜数十mほどの海岸線を快走できる道。幹線道路でありながら信号も少なく、島を縁取るようにアップダウン、細かなカーブを繰り返しながら走ることができる。

次は、天草のグルメをいただく。新鮮な車海老を食べるために天草市街・本渡へと走る。なんと、新鮮すぎて“動く”らしい……。
「動くってどういうことよ」といまいちピンと来ないまま「海老の宮川 亀川店」にて“海老会席”をいただく。待つことしばしでやってきたのは、あらゆる料理の車海老たち! 天ぷら、塩焼きなど、僕らが思いつく車海老料理は全部あるといっても過言ではないくらいだ。

どの海老料理も絶品だが、特筆すべきはこのお店の名物である“車海老の踊り食い”。車海老をすぐにさばいて提供してくれるので、お皿の上でたまに動く。まさに新鮮の頂点だ。それを口にすると弾力がすごく、噛むほどに甘みが口に広がるという、間違いなしのおいしさだった。ちなみに撮影中、お刺身が動くので撮影に相当苦労したことをここに記しておく。

海老の宮川 亀川店

車海老の養殖から手掛ける車海老のスペシャリスト。国道324号を走ると、海を四角く囲んでいる場所が見えてくる。それがここの養殖場だ。動く車海老は躊躇するかもしれないが新鮮な証拠。配送も行っているのでお土産にぜひ。

DATA
熊本県天草市亀場町亀川1886-24
TEL:0969-23-0699

営業時間:11:00~14:30、17:00~20:00
定休日:不定

https://www.ebimiyagawa.com/

すでに相当満足しているが、今度は王道の観光地へ。トンネルをいくつか抜けると一つだけポツンと異彩を放つ建物が見えてきた。それは﨑津教会。街並みも含め“﨑津集落”と呼ばれ、2018年には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録された場所の一つだ。

少し、﨑津教会の時代背景を簡単に。およそ450年前に天草に伝えられたキリスト教は領主の支援を受け布教が始まる。日本従来の文化とキリスト教の考えはうまく混ざりあい、﨑津集落では独自の信仰を形成し、発展していく。

しかし、江戸幕府の鎖国政策による弾圧が始まった。現在、﨑津教会が建っているこの場所でまさに我々が教科書で見て知っている“絵踏”が行われたのだそう。

弾圧により、消滅したかに思えた信仰。しかし、﨑津教会が現在のこの場所に建てられる開国後の時代まで、集落でひそかに守り続けていたのだ。

天草五橋もバイクもない江戸時代。現代に生きる僕でさえ、熊本市からここまでけっこうかかった気がしているのだから、江戸時代なら相当な奥地だ。幕府の目を逃れ、潜伏キリシタンとして信仰が続けられたのもうなずける。

そんなことをちょっと知ったうえで、教会の対岸にある公園から集落を眺めてみる。あれだけ異彩を放っていた教会が、今は溶け込んで、一つの街並みに見えた。

なんだか先ほどのテンションとは打って変わって落ち着いた気持ち。そんな緩急もつけてくれる天草、ダテじゃないな。

﨑津教会

世界文化遺産に登録された「天草の﨑津集落」のシンボル。「海の天主堂」とも呼ばれ、小さな漁村に突然現れるゴシック様式の教会。天草で著名な観光名所のひとつだ。周辺には夕陽のスポットや飲食店なども点在。

DATA
熊本県天草市河浦町﨑津539
TEL:0969-78-6000

営業時間:9:00~17:00
入館料:なし

https://www.t-island.jp/

﨑津集落でぼーっとしていると日没が近づいていた。天草市は熊本最西、夕陽スポットも多く点在している。なかでもとくに景観に優れたスポットは「天草夕陽八景」と呼ばれているので、宿泊地に向かう前に立ち寄るのもいい。

対岸の公園から眺めてみると、集落にぽつんとある教会がなんとも不思議。教会への道は車両進入不可だが、近くに駐車場がある。

天草を満喫した本日の宿は、天草の西部、下田温泉のなかにある「泉屋旅館」だ。今回のプランは2名から予約可能な「伊勢海老船盛プラン」で、名前の通り、見ての通りの贅沢プラン! 食べきれないほどの伊勢海老とお刺身の山! 今朝市場で仕入れてきたばかりだという鮮度バツグンの海鮮たちは、身がしまっていて程よい歯ごたえもあって食べごたえも抜群。これも冬のいいところの一つだろう。伊勢海老・海鮮・温泉・バイク旅。こんなに幸せでいいのだろうか。

下田温泉泉屋旅館

天草の西側にある下田温泉の中心を流れる下津深江川の川沿いに建っているのがここ泉屋旅館。創業は明治17年という老舗旅館だ。そんな館内は温かみにあふれ、市場から仕入れてくれたとれたての海の幸を使った食事宿泊プランを多数用意している。写真は、伊勢海老船盛プラン(1泊2食付き)1万4000円。

DATA
熊本県天草市下田北1297-1
TEL:0969-42-3021
http://www.izumiyaryokann.com/