水から始まる信濃大町の魅力“信濃大町グルメ”
いくらうまくても水は水、それ以上の価値はあるのか
「水がうまいと、人が集まる」。この町を走っていて、つくづく感じたことだ。水がうまいと、料理がうまい。これはよく聞く話なのだが、そこから一歩進んで、信濃大町にはうまい料理を作りたいと思う人が集まってきているような気がしたのだ。というのも、今回取材をさせてもらった飲食店は移住してきた人も多く、彼らの話を聞いていると、妙に納得できる。
うまい料理を作りたい、化学肥料を使わない野菜を使いたい。それは、野菜作りに適した高冷地であり、清らかな水がなければなかなか成立しない。だから、理想の料理を目指す人が集まりやすい土地柄なのかもしれない。
ちなみに、この信濃大町では、サントリーの新工場「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」が21年から稼働する予定だという。サントリーが工場に選ぶぐらい、信濃大町の水は評価が高い。このあたりでは、まさに水道水が天然水。信濃大町のどこで水を飲んでも、普通にうまい。
コーヒー専門店「UNITE COFFEE」の取材中に、興味深い話を聞くことができた。兵庫から大町市に移住したオーナーの松浦さんは、東京でコーヒーの名門店で修行を積み、この店をオープンさせたのだが、大町を選んだ理由は水だった。大町の水は軟水でコーヒーに合う。そして、この水を使ったコーヒーであれば理想のコーヒーが作れる、と。
そこまでは分かるが、驚いたのはその後だ。「純粋に水がうまい。だが、人はうまいだけの水にどこまでの価値を感じてくれるのか」。いまどき、おいしい水なら100円も出せば買える。それ以上の価値をどう生み出せるのか。その答えが、水を使った同店のコーヒーや北アルプスブルワリーで展開されるクラフトビール。彼は「水を通して大町の良さを伝えたい」と言う。なるほどって思わず膝を打ってしまったほどである。
だからなのか、北アルプスの山麓に位置するこの信濃大町には、魅力的なお店ばかりだった。今回、紹介することはできなかったが直売所もあり、新鮮な野菜が所狭しと並んでいる。飲食店に立ち寄るだけではなく、ぜひ現地の野菜も味わってほしい。走りごたえがあってグルメも充実する信濃大町は、立ち止まってじっくり楽しむのが正解なのだ。
UNITE COFFEE
信濃大町の水は軟水でコーヒーに適しているというオーナーのこだわりがつまった専門店。大町の水を広めようと、北アルプスブルワリーも出店
住所:長野県大町市大町4098-4
TEL:0261-85-0180
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜、月曜
それほど観光化されておらず、いたのは釣り人ぐらい。だから、すごく静かな印象だった。湖は湖畔までバイクで下れないところが多いが、木崎湖はすぐそこまでアクセスできるのはうれしい
北アルプスを展望するスポットの筆頭候補は山岳博物館前。ここからは街並みの奥に雄大な山々がそびえ迫力満点。さらに道を登れば鷹狩山展望台があり、そこには恋人の聖地もある
北アルプスの恵みと言える大町の水。信濃大町ではハサイダーや天然水などが販売されているが、本当においしい水だ。試しに現地の水道水を飲んでみたが、透明感があって旨い。サントリーの新工場ができるのも納得だ
信濃大町グルメ
美麻の気候が生んだお母さんのそば“手打ちそば美郷”
創業33年の老舗そば屋が美麻地区にある美郷だ。そば作りといえば高冷地を連想する通り、この美麻地区は標高900m。そば作りにはベストな環境がそろっている。そんな美郷のコンセプトは地産地消。近所で作られたそばや野菜を提供しているそうで、そばはもちろん、漬物もうまいの一言。バイク乗りも多く来店すると言うから、まずはオススメのざるを食べてほしい
写真の山菜がのったおろしそばは漬物、薄焼き付きで1050円。店舗は県道393号、31号が交差する角に立つ。バイクの駐車もしやすい
住所:長野県大町市美麻14890
TEL:0261-23-1334
営業時間:11:00~16:00
定休日:火曜
腰を降ろして木崎湖を見てほしい“ねまるちゃテラス”
木崎湖を臨むロケーションに建つカフェ。サラダは地元農家と契約した野菜を使用するなど地産地消を心がけているという。写真のランチメニューは、ステーキ丼かローストビーフ丼をセレクトでき、サラダ、スープが付いたものでボリュームが魅力だ。店内からでも木崎湖を眺められるが、テラス席もオススメ。なお、店名の「ねまるちゃ」とは富山弁でゆっくり座ろうという意味
カフェを営む松澤夫妻。写真のかき氷はこれからの時期にピッタリだ。カフェ敷地内の芝生エリアを使ったグランピングメニューも用意している(1日1組、要予約)
住所:長野県大町市平10731
TEL:0261-85-4584
営業時間:10:30~16:00
定休日:水曜
HP:https://www.nemarucha-terrace.jp/
新鮮野菜と食べやすいジビエ“農園カフェ ラビット”
オーナーの児玉さんは「化学調味料を使わず素材の味を最大限に活かしたい」と、大町市美麻地区に移住。カフェをオープンさせて8年が経つ。この農園カフェは寒暖の差がある標高920mの高地にあり、甘くておいしい野菜になると言う。メニューはパスタとジビエが中心。写真はジビエを使ったカレーで、獣臭さはなく食べやすいのが特徴だ。野菜の前菜付き
ジビエマイスターの児玉さんはハンターカブに乗るライダー。SSTRの帰りに立ち寄るライダーも多いとか
住所:長野県大町市大町8295-48 中山高原
TEL:0261-85-2120
営業時間:11:00~15:00
定休日:月曜、火曜
気軽に立ち寄れるくつろぎのカフェ“ALPSTYLE CAFE”
道306号・北アルプスパノラマロード沿いにあるハンバーガーショップがアルプスタイルカフェだ。店内は開放的な明るい空間が広がり、居心地がいい。無添加小麦粉で作るこだわりのパンを使って料理を提供しているのが特徴で、ハンバーガーも自慢の一品。写真のチーズバーガーはポテトが付き、ドリンクと一緒に注文すれば100円引き。ライダーも納得のボリュームだ
店舗は蔦屋書店の正面にあり、駐車場も完備されるためバイクでも立ち寄りやすい。Wi-Fiやコンセントも用意され、休憩に便利だ
住所:長野県大町市常盤5868-94
TEL:0261-85-2423
営業時間:11:00~16:00(季節により変更あり)
定休日:水曜
広大な景色の中で楽しむ美麻の自家焙煎コーヒー“美麻珈琲”
2008年に大町の美麻地区にオープンしたコーヒー専門店。美麻の澄んだ水と良質な豆を使い、自家焙煎にこだわったコーヒーを提供する。店までのアプローチはダートとなるが、区間も短くバイクであれば問題なくたどり着けるだろう。店の正面は元ゲレンデで、店内からは北海道のような景色が楽しめる。テラス席もあり、こちらもオススメ
人気メニューの美麻ブレンド(605円)とチョコレートレアケーキ(495円)。香り豊かなコーヒーは格別だ。外観は童話の世界を連想させる素敵な建物、目の前には富良野のような丘陵地帯が広がる
住所:長野県大町市美麻14902-1
TEL:0261-23-1102
営業時間:10:00~17:00
定休日:木曜
HP:http://www.miasacoffee.com/
北アルプスの恵みで作られたクラフトビール“北アルプスブルワリー”
大町は水がうまい。そんなうまい水を使ったら、ビールもうまくなるのだろうか? そんな疑問に答えるための実験的店舗が、19年7月にオープンした北アルプスブルワリーだ。北アルプスの水を使って開発されたクラフトビールは現在、5本がラインナップ。店内でいただくことももちろん可能だが、我々ライダーはお土産を買って帰りたい
写真左から氷河PALE ALE(500円)、氷河IPA(600円)、氷河STOUT(600円)、氷河LAGER(550円)、CoffeePUNCH(600円)。各330㎖
住所:長野県大町市常盤4134-1
TEL:0261-85-0780
営業時間:16:00~21:30
定休日:水曜
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