ツーリングを楽しむ全てのバイク乗りのためのWebメディア

BikeJIN

ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学

【第12話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学「旅に出る理由が ここにある」


いよいよツーリングマップル最新版の発売時期!
今年のコピーは「旅に出る理由がここにある」
その真意は? そもそも地図にコピーって珍しくない?
ほかでは聞けないその辺りの話を聞いてみよう

取材協力
昭文社
http://www.mapple.co.jp/

旅に出る理由

「旅に出る理由」といえば、“オザケン”こと小沢健二の名曲「ぼくらが旅に出る理由」を思い浮かべる人も少なくないんじゃないだろうか。94年に発売されたアルバム「LIFE」に収録され、後にシングルカットもされた曲だ。この「LIFE」というアルバムは、収録曲のほとんどがシングルになる程の名曲揃いで、カバーするアーティストも多ければ、CMタイアップなんかも多い。だからオザケンを知らない人でも曲を聞けば「ああ、あれね」と何かしら聴き覚えがあるんじゃないかと思う。

当時オザケンといえば、“渋谷系”(という音楽やファッションが当時のカルチャーを席巻していた)の王子さまなんて呼ばれ、特に若者からの支持を集めていたけれど、かと言って特定の層にだけ狂信的に愛されているわけではなく、老若男女幅広くお茶の間で受け入れられていたように思う。まあもちろん、当時と今では音楽を取り巻く環境が全然違う(インターネットだって普及してなかった)んだけれど、オザケンの曲はどれも、ポップなメロディと、それまであまり広くは聴かれなかったような洒落たアレンジ、どこか可愛らしい(子供っぽい?)歌い方や声などが、絶妙なバランスでまとまっていて、「LIFE」は大ヒットした。売れた=良いではないけれど、まぎれもなく、90年代を代表する名アルバムだったと思う(最近出た新譜も良いので聴いてみてほしい)。

僕は、当時からこの名盤を繰り返し聴いてはいたけれど、大人になってからあらためて聴いてみると、また違った魅力を感じる。歌詞に込められた哲学というか、普遍的な愛みたいなものは、今聴いても古臭さはまったくない。恋人との恋愛にまつわる話を歌っているようでいて、そこにはいつも、この世界の愛すべき人たちやものごとへの想いがあり、それらへの愛おしさや切なさや儚さが綴られている(ような気がする)。

キャッチコピーのある地図

さて、僕は別に、ここで小沢健二論を書きたいわけではない。あまり書くと、それこそ狂信的なファンからは怒られそうだし、世代じゃない人からは「で?」なんて言われそうだし……(苦笑)。

ツーリングマップルである。その20年版のキャッチコピーが「旅に出る理由がここにある」なのだ。

ツーリングマップルでは、16年版以降、毎年キャッチコピーを付けてきた。それは、僕がツーリングマップルの担当になり、デザイナー氏と初めて打ち合わせをしたとき「なにか、コンセプトになるようなキャッチコピーが欲しい」と言われたことから始まった。それまでのツーリングマップル(というか地図全般)には、キャッチコピーなんてものがなかった。載っていたのは機能についての言葉(なにがついているとか、地図の縮尺がどうとか)ばかり。でもツーリングマップルは「ただの地図」ではない。これまでの連載でも述べてきたように、ユーザーによりいろんな意味合いを持ってくれる、ギアであり、読み物である。そのことをきちんと謳いたい。

かくしてその年「僕らを走らせる地図」というコピーができた。実はその時、別案があって、それが「僕らが旅に出る理由」だったのだ。その時は使わずじまいだったものの、あまりにもぴったりなこのフレーズは、さすがに曲のタイトルそのままは気が引けるけれど、部分的にでも、いつか使いたいなと思っていた。

この世界は旅に出る理由であふれている

日本には、美しい景色、気持ちの良い道、土地に根付いた料理、最果ての温泉地など、そこに行かなければ出会えない、愛すべきものたちがあふれている。そこに住む人たちがいる。僕らはきっと、それらに会いたくて、旅をするんだと思う。つまりそれが「旅に出る理由」だ。そしてツーリングマップルとは、そんな「旅に出る理由」がまとめられた本なのだ。

20年版の企画中に、あらためてそんなことを考えながら、久しぶりにあの曲を聴いてみた。すると、なぜか涙がこぼれそうになった。「オイオイ(笑)」と自分にツッコミを入れながらも、これでコピーはほぼ決まった。案外、単純だ(笑)。

いつもそこにある

仕事や勉強、家庭の雑事などに追われる日々の中で、旅に出る気力や時間がとれない時もあると思う。それでもひとたび地図を開けば、そこにはたくさんの「旅に出る理由」があり、僕らに見つけられるのを待っている。旅に出る理由は「生きる理由」になるし、何かを「頑張る理由」にもなる。だから、何はなくとも、地図を開いてみよう。

良かったら、いつものバッグに一冊、ツーリングマップルを入れてみてほしい。それだけで、なにかが変わると思うから。

Information
みんなのツーリングマップルOPEN!!

Twitter:@touringmapple_s