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ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学

【第5話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学「イロイロな道路」


紙地図を開いたとき、「やけにカラフルだな」と 感じたことがないだろうか。
ネットやアプリの地図と比べると断然色が多い。
そのせいで見づらく思うこともあるが色にはきちんと意味がある。
色の背景を読んでみよう

取材協力
昭文社
http://www.mapple.co.jp/

道路、好きですか?

こんにちは!今年は梅雨が長いですねぇ。この原稿を書いている今も、外はなかなかの雨模様。さすがに今月号が出る頃には、夏らしくなってるといいなぁ……。夏には夏のツラさがありますが、出かけられないよりはマシですよね。あぁ、素敵な青空を見に行きたい!ステキな道路を走りたい!というワケで(?)今回のテーマは「イロイロな道路」。道路に関して、とくに地図での「色」について、お話ししてみたいと思います。

ツーリングマップルは、世間一般には「道路地図」にカテゴライズされています(ユーザーによっては「旅の紀行文」とか「思い出のアルバム」とか、「いやギアだ」「エロ本だ」「ビニ本!」「18禁!」などなどいろいろ言われとりますが……)。まぁつまり、道路というのは我々にとって一番大事な情報になります。

「色」多すぎじゃね !?

さて、改めてツーリングマップルを眺めてみると、いろんな色の道路があることが分かります。……っていうか、色多すぎません?国道はアカ、主地道(主要地方道)はミドリ、県道はキイロ、広域農道は薄いキイロ、高速道路はムラサキ、ダートはオレンジ破線、おすすめルートや抜け道にはムラサキのフチ(図1)と、なぜこんなにたくさん色分けしているんでしょう。これじゃあ、地図に慣れていない人から「色がゴチャゴチャちらついて見づらい」と思われても無理はないかもしれません。

(図1)慣れていれば大したこと はないけれど、初めて使う人には ハードルが高いかも……

でも色分けには、道の規格の違いや、走りやすさ、その道がどこに繋がっているのか、などを知るための、想像を助けるための役目があるのです。その想像から、ユーザーの皆さんはルートを立てますよね。というわけで、ここで毎度お馴染み(?)「やってみた」のコーナー。道路の色を全部白1色にしてみました(図2)。比較対象に元の図も見てみましょう(図3)。

(図2)別の意味では面白そうだけど、なかなか 実用地図としては使いづらいですよね

(図3)こちらが通常仕様の地図。ゴチャゴチャ 感はあるものの、ネットワークが良く分かります

うーん、やっぱりこれでは使いにくいですね。自分で色を塗る面白さはあるかもしれませんが、プランニング用の地図としては不十分です。ネットワークが分からないので、どこをどう走れば目的の場所へ行けるのか、いまいちアタリが付けられません。道路の色分けは、やはり「情報」として大事なことなんです。もちろん各種道路の性格をある程度知っていてこそ、より使いこなせる情報ではあるんですが。

「色」付けの理由

では道路の色分け、そこに根拠はあるのでしょうか。ちょっと歴史をさかのぼってみましょう。まず、道路には「道路構造令」というものがあり、高速道路、国道、都道府県道、市町村道という種別(と交通量)によって、構造基準(設計速度や車線数、幅員など)が定められています。道路を新規に通したり、改築したりする際の基準となるものです。

現行の道路構造令は1970年に施行されています。施工後、これに沿った全国の道路整備が本格的に進みます。「種別によって構造基準が定められている」ということは、裏を返せば「道路種別を知れば、走りやすい道路が分かる」ということです。かくして、その頃から地図上で「道路種別による道路色分け」が重要視されるようになったというわけです。

実はその後1990年頃になると、道路色分けが一転、シンプル路線へと進みます(詳しい経緯は別の機会に)。一時は国道がオレンジ、その他の主要道路はキイロという仕様の地図が隆盛を極めたことも。しかし一方でその頃、旧建設省から地図会社に対し「国道、主地道、県道の標識に、それぞれアカ、ミドリ、キイロの色分け表示を採用する」という方針が示されました。標識に合わせて、地図の道路もアカミドリ、キイロにしてね、という要請の意味があったのでしょう。

実際の標識。3色の道路が交差していて、これに出会うとなんだか嬉しいです……よね?

葛藤・対立

方針が示されてから、実際に標識が普及し始めたのは2000年前後。昭文社でも、ここにきてどうすべきか、大きな仕様変更になるので、議論が起こり、対立も生まれました。派閥闘争、東西分裂、それでも譲れないこだわり、全社巻き込んでの流血闘争……があったかどうかは知りませんが(苦笑)。

対立ポイントのひとつは高速道路色です。ご存知のように、高速道路の標識はミドリです。現地に表現を合わせるなら、高速道路はミドリで表現するべきです。しかしミドリは主地道の色でもあります。同系統の色を使って良いのかどうか。それより高速は他の道路色で使われていないムラサキで表現するべきじゃないか。意見は分かれ、シリーズによっては改訂するタイミングで色が変わることもありました。今も、高速道路がミドリのシリーズとムラサキのシリーズがあります。一体、どちらが良いんでしょうね? 
ツーリングマップルはどうかと言うと、今はムラサキですが、初期は高速道路を水色で表現していました。ここにきてまた独自路線……(笑)。あまり役に立たない今回のお話ですが、小ネタとして覚えておいていただけると幸いです。

ではまた!

Twitter:@touringmapple_s