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【緊急取材】事故ゼロ作戦スタートから今年で10年、伊豆スカイラインは今でも危ないのか?


「もう大丈夫でしょ」「まだ危ない奴がいるから行かない」
様々な意見や憶測が尽きない伊豆スカイラインの二輪車事故事情。事故件数は減った
だが、危険度は高止まりしているというのが、適切な表現だろう
文/カズ中西

死亡現場でも危険運転を止めない悪質者あり

世界ジオパークに認定された伊豆半島。また、伊豆市の日本サイクルスポーツセンターは、東京2020自転車トラック競技&マウンテンバイク競技の会場となっており、そんな伊豆半島を含む富士箱根伊豆国立公園内は、全世界から注目を集めている。2019年は、自転車レース世界大会のプレイベントも予定されているそうで、選手団はもちろん、応援に駆け付ける人々や観光客の流入増も予想されている。

そこで伊豆半島の縦走ルートとして、伊豆縦貫道と共に活用を見込まれている伊豆スカイライン。箱根地域からのアクセス性が良く、富士山を眺められる有料の観光道路なのだが、過去10年の二輪車事故発生状況を見れば、何ら不安なく通行できるルートだとは到底思えない惨状となっている。

年々増加する二輪車の重大事故と運転マナーに対する苦情の多さ、翌年に実施される通行料金半額の社会実験による通行台数の増加などから、2009年に伊豆スカイラインの二輪車通行禁止案が浮上していたわけだが、「従来通りの対策ではなく、利用者意識を変えることで二輪車事故を撲滅できないか?」という考えから、官民一体となった事故防止の啓蒙啓発活動として、伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦が実施された。

事故ゼロ作戦とは
伊豆スカイラインにおける二輪車の重大事故撲滅を目標に掲げ、利用者の安全運転意識を高めてもらおうと企画された官民一体の啓蒙啓発活動。12回を開催。現在はIZUドライブセーフティ作戦にフェイズシフト

あれから10年、初めの5年間に伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦のサポート隊、後半はIZUドライブセーフティ作戦へ参画する二輪車の事故防止啓蒙啓発団体として、伊豆スカ事故ゼロ小隊は深くかかわってきた。小隊長である私、カズ中西は、静岡県二輪車安全運転推進クラブ伊豆地区の会長、二輪車安全運転推進委員会の特別指導員、大仁警察署協議会副会長の任もあり、幅広い視点で人々から意見をいただきつつ、富士箱根伊豆国立公園内の二輪車事故防止&安全利用を訴えかけてきた。また、大仁警察署管内で二輪車が関係する死亡事故が発生すれば、プロライダーとして現場診断に出席。これまで、ライダーの視点に立って事故発生原因などについて意見を述べてきた。

死亡事故の現場診断に立ち会い、実際に走行することで見えてくるのは、運転経歴が長い人やレースや競技経験のある人ほど、尊い命を落としているという事実。毎回思うことだが、死亡事故現場は重苦しい空気が漂っており、その現場で検証走行をすることで、亡くなられたライダーに過信や慢心があったのだなと思い知る。そんな現場診断時にも、公道不可の競技専用エキゾーストシステムを装着したスーパースポーツモデルを駆り、危険な速度や過度なリーン角で通過していくレーシングスーツ姿のライダーが少なくない。その都度、現場にて立ち会っていた関係者から溜息が漏れる。そんな運転マナーの悪さに「おい! ここはサーキットじゃないんだぞ!」と、思わず声を荒げる人もいる。

数字的にいえば、伊豆スカイラインの二輪車事故は、ピーク時に比べて大幅に減少。それでも毎年のように死亡事故が発生しているというのが現実。時間帯は早朝から正午にかけての土日が多い。年齢層は40代以上、車両は1000㏄クラスのスーパースポーツ。この実態は、大仁警察署や静岡県警本部交通機動隊が実施している取締り結果とも合致。さらに、2017年から2年連続で死亡事故が発生したこともあり、昨年11月に大仁警察署から静岡県道路公社へ、夜間から早朝にかけての二輪車通行禁止が申し出された。

日中にツーリングルートして利用したい人、風光明媚な景色を楽しみながらのんびりとドライブしたい観光客にとっては、大して不都合とならない規制。未だにレーサーまがい行為や危険運転者が巣くっている現状からすれば、やむを得ない判断だと思える。また、私が独自に調査した結果では、物損事故を起こす人や速度の取り締まりで検挙された人の中に、社会的に地位の高い方々が意外に多かったという驚愕の事実。俗に「バイクに慣れていない」とされているビギナーほど、立ちゴケ程度はあっても、事故は起こしていない。これが意味するところは、ビギナーゆえの運転に対する慎重さがあるからだと分析。聞き込みを重ねていくと、「事故を起こせば家族や仲間に迷惑をかける」「バイクに乗ることを許してもらえなくなる」「ようやく手にしたバイクだから大切にしたい」「危険な追い越しをされたので、自分はそうしないように心掛けている」等々、ビギナーほど二輪車の安全利用について、深く考えていることが見えてくる。

今後、東京2020の開催日が近づくにつれ、危険運転者への取り締まり強化が進んでいくと思われる。これは伊豆スカイラインだけの問題ではなく、ロードレース競技会場となっている道志みちや富士スピードウェイ周辺にも言えることで、仮にレーサーまがい行為の者が、海外選手や政府要人の移動車両などに衝突し、大きな事故を起こせば国際問題に発展しかねない。伊豆スカイラインはもちろん、接続する箱根の道路からも二輪車が完全に締め出される可能性は否定できないわけだ。そうならないためにバイク乗りができることは、自ら律して他人に迷惑をかけない運転社会に思いやりを持ったマナーの良い運転。それがひいては悲しい二輪車事故の撲滅につながっていくと思う。

夜間~早朝にかけて二輪は通行禁止に!?

こうしてみると事故件数は減少傾向だが…

事故件数はピーク時からすれば激減。だが、依然として二輪車の占める割合は高い。このデータは大仁警察署管内(伊豆スカイライン7kポスト以南)のみで、三島警察署管内(熱海峠から7kポストまで)のデータを含めれば、二輪車事故の割合はグッと高まる。

ちなみに、国道1号や箱根十国峠線においても死亡を含む二輪車事故は多発しており、静岡県警察は重点警戒路線と位置付けている。なお、県全体の二輪車事故が占める割合は全件数の2割台

モータージャーナリスト・カズ中西

愛称はカズ兄。本業の他、イベントMCや二輪用品の開発ライダーなど、活躍の場は多方面に及ぶ。日本二輪車文化協会・セーフティライディング部会理事

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