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目指せ!ユーラシア大陸横断

ユーラシア大陸横断 ロシア編⑧ 日本人ライダーの死を悼む

目指せユーラシア大陸横断

こんにちは!合田紘之(@GodaAFRICATWIN)と申します。
バイクで世界中をツーリングするために新聞記者を辞め、昨年末から今年2月までのオーストラリア一周の様子はBikeJINWEBで連載させていただきました。
今回は第2弾。ロシア極東からヨーロッパ西部までユーラシア大陸の約4万kmを横断します!

6年前に日本人ライダーが殺害される

6年前に日本人ライダーがロシアでキャンプ中に殺された事件をご存知だろうか。

海外をツーリングするライダーの中では世界中で有名な話だ。当時の共同通信の報道によると、2012年5月22日に東京都の大仁田耕一さん(当時30歳)が、ロシアのチタとウランウデの中間にあるヒロク地区の道路近くでキャンプをしている時に30カ所以上を刺されて亡くなった。強盗殺人容疑で地元の若者2人が逮捕されている。彼はロシアのウラジオストクからアフリカのセネガルを目指してツーリング中だったという。
僕は当時からユーラシア大陸を横断したいと思っていたので、当時からこの事件についてショックを受けていた。

ロシア人と協力してプレートを作成

バイクでユーラシア大陸横断という同じ志を持っていた彼を追悼したいと思った。一緒にツーリングしているロシア人ライダーのアレクセイに殺害現場を知っているか尋ねると、現場近くに住むライダーに連絡を取って場所を調べてくれた。

アレクセイは「現場はわかったけど、そこには花も石碑も何もないという。この悲しい事件をみんなに知ってもらう必要がある。追悼するためのプレートを作ろう」と提案してきた。
正直、最初は現場で手を合わせられればいいと思っていた。殺害された本人との面識もなく遺族の承諾もなしに、勝手にそんなことをしていいのかとも思った。
でもこの事件について世界中のライダーが気にしている一方で、現場や詳細をよく知らないのが現状だったことを肌で感じていた。彼の言う通り、多くの人に知ってもらう必要があると思ったほか、日本人とロシア人のライダーがこうして協力できる機会は稀だと思い、使命感を感じつつ彼の死を悼むプレートを作ることを決意した。

アレクセイがチタの街中にある印刷屋を調べてくれ、防水加工されたプレートを製作した。プレートは多くの国の人が理解できるように日本語のほか、英語、ロシア語でも表記した。

現地のライダーとともに追悼

現場を案内してもらうためにアレクセイの知り合いの地元ライダーと合流したほか、たまたまガソリンスタンドで会ったロシア人ライダー集団も一緒に追悼してくれるということで、計7人で現場に向かった

現場は幹線道路から脇道を数100m入ったところで、さらに道から外れた森の中だった。座標は51.4418099”N,110.0901281”E。とても静かな場所で、車はほとんど通ることはない。人目に触れない場所だからこそ、誰にも助けを求められなかったのだろう。自分もここなら安全だと思いキャンプしてもおかしくない場所。自分がこれまでたまたま事件に遭わなかっただけで、何が起こってもおかしくないということだ。

現地のライダーに日本人ライダーが殺された現場を教えてもらい、すぐそばに生えている白樺の木にプレートを装着した。そして花を供え、手を合わせた。

彼の死を通じて海外でキャンプをすることは危険ということをあらためて思い知らされた。世界を旅するライダーは長期間にわたる旅の費用を節約するためにキャンプをするのが一般的だ。キャンプをしないということにはならないにしても、テントを張る場所を吟味したり、安全が確保できない場合は宿に泊まるなど、対策できることはたくさんある。

勝手ながら彼の死を無駄にしないためにもこの情報を共有することは重要だと思っている。後日、世界の冒険ライダーが参加するSNSのグループにもこの事件とプレートのことを周知させてもらった。これからもこの事件をきっかけに世界のライダーの安全意識の向上に繋がることを祈っている。

・ユーラシア大陸横断 ロシア編1
・ユーラシア大陸横断 ロシア編2
・ユーラシア大陸横断 ロシア編3
・ユーラシア大陸横断 ロシア編4
・ユーラシア大陸横断 ロシア編5
・ユーラシア大陸横断 ロシア編6
・ユーラシア大陸横断 ロシア編7

合田紘之(ごうだ ひろゆき)

1987年生まれの31歳。横浜市出身、札幌市在住。
18歳で二輪免許を取得し、法政大学在学中にバイクで日本を2周する。
その中で北海道が気に入り、2010年から7年間、北海道新聞の記者として札幌市や登別市、紋別市などで取材で駆け回っていたが、バイクで世界をツーリングするために退社。
身長は168センチで愛車のアフリカツイン750はやっと足が届く程度。英語は初心者レベルなので、世界の人たちとコミュニケーションをとるために日々奮闘中。

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