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リターンライダー必見!“進化を遂げるABS&トラクションコントロール”

減速・加速の危険を激減!バンク中でもシッカリ機能!!

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、その名の通りブレーキをかけた際に、強くかけ過ぎたり路面が滑りやすい場合にタイヤがロックするのを防いで、転倒する危険を減らしてくれる。仕組みとしては、タイヤの回転数の急激な変化(もしくは停止=ロック)を検知し、ブレーキの油圧を緩めてロックを回避したら再び油圧を復活……を瞬時に繰り返す。

トラクションコントロールは、加速時にスロットルを開けすぎて過剰な駆動力を与えたり、滑りやすい路面によって後輪が空転(スピン)するのを防ぐ。元はレース用のシステムで、スピンすることで加速が鈍らないように、効率よく後輪に駆動力を与えるためのデバイスだ。コチラも前後タイヤの回転数の差を検出することで後輪のスピンを検知し、エンジンの点火カットや燃料噴射カットで駆動力を抑える制御を行った。

これら従来型のABSやトラクションコントロールも、非装備のバイクと比べたら劇的に安全性やパフォーマンスは向上している。……が、タイヤの回転数で適正に制御できるのは基本的に直線でバイクが起きた状態の時。コーナーでバンクしている時にガツンッとブレーキをかけたらロックして転ぶ可能性が高い。トラクションコントロールも効きが弱ければスピンしてスライド(スリップして転倒する危険アリ)するし、効き過ぎれば駆動力不足によって加速が鈍るだけでなく旋回力を損なって大回りしてしまう。

そこで威力を発揮するのが、前ページで解説したIMU。バイクの状態や車体の姿勢を検知することで、バンクしている最中でも適正なブレーキ効力や前後配分を調整してくれるコーナリングABS(メーカーによってレースABSなど別の呼び名もある)や、横滑り(スライド)も抑える進化型のトラクションコントロールが登場。

……と言われても「コーナリング中にブレーキなんてかけないし、そんなにガンガン飛ばさないから自分には関係ない」と感じるライダーもいるだろう。しかし、ブラインドコーナーで山菜取りの歩行者に急ブレーキをかけることもあるし、浅いバンクでも砂が浮いたカーブで横滑りして転倒こそしないけれどドキッとすることは少なくない。そんな不安をコーナリングABSや進化型トラクションコントロールがしっかりカバーしてくれるとしたら……。

その恩恵は、想像以上に大きいハズだ。

ABSとトラクションコントロールの目的

従来型のABSとコーナリングABS
従来型ABSは、あくまでブレーキ時のタイヤのロックを防いで転倒を抑止するのが目的で、基本的に車体が起きた状態でないと正確に作動しない。対するコーナリングABSは、車体が傾いた状態でも適正なブレーキ効力を発揮。前後ブレーキを適正な配分にし、バンク中の姿勢も制御可能なタイプも存在する

従来型のトラクションコントロールと進化型の違いは?
従来型は加速時の縦方向の後輪の空転に対して駆動力を制御してスピンを抑制。スロットルの開けすぎや、滑りやすい路面に対して適正な駆動力を与えるのが目的。対する進化型はコーナーの立ち上がりなどで後輪の横方向の空転(スライド)にも対応する。そのため従来機能に加えて“スライドコントロール”と呼ぶメーカーもある

従来型のABSやトラクションコントロール 開けすぎや滑りやすい路面は、コーナー進入前のブレーキングや立ち上がってからの加速など、基本的に直線で車体が起きた状態で機能(バンク中も作動するが……)。しかし、コーナリングABSや進化型トラクションコントロールは、旋回中も機能を発揮し、安全性やコーナリング性能を高める

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BikeJIN/培倶人 2020年7月号 Vol.209
990(税込)

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