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PCX HYBRIDで気づいたバイク×ハイブリッドシステムの意外な可能性とは?


先日、発表された量産二輪車初のハイブリッドシステムを採用したホンダ・PCX HYBRID。125ccのエンジンを、リチウムイオンバッテリーを電源とする駆動モーターがサポートすることで、クラスを超えた加速力を実現しています。乗った印象も、とにかく速い! でした。

ハイブリッドのクルマに乗っている方はご存知と思いますが、モーターのサポートがあるだけに、ハイブリッド車の発進加速はとても強力です。クルマの場合は、それよりも燃費向上をセールスポイントにしていますからあまり注目されてはいませんが、モーターの特性上、瞬時にフルパワーを発生することができますから、ガソリンエンジンだけの車に比べると当然、速くなるわけです。

そもそもこのPCX HYBRIDは、アセアン諸国で大ヒットモデルのPCXユーザーから、もっと速いPCXが欲しい、隣に並んだPCXに発進加速で勝てるPCXが欲しいという声に応えて開発されたといいます。もともと燃費のいいPCXですから、主眼は燃費ではなく速さ。その話を初めて聞いたときには、正直?マークが浮かんだものです。

クルマでは当り前のハイブリッドがついにPCXで実現した。価格は43万2000円で受注生産モデル

エンジンをモーターがサポートする、これはバイクに合っているかも!

しかし、試乗会当日、開発責任者の方に話を聞くうちに、ガソリンエンジンのパワーをモーターがサポートするというのは、とてもバイクに合ったものかもしれないと思い始めました。日本のように、運転できるバイクが免許証の種類で細かく分けられていたり、250cc以上は車検があったりと、排気量での区分がきっちりしているところでは、このモーターによるサポートというのが非常に効果的な手段になりそうだからです。

たとえば、大型バイクに乗っていた方がダウンサイジングして250や400ccのロードスポーツに乗り換えたとして、モーターのサポートで大型バイク並みの加速力があれば動力性能に不満を持つことがないかもしれません。また、普通二輪免許を持っていて、経済的に軽二輪がいいと思う方も、ハイブリッドシステムのおかげで400cc並みの加速感が味わえれば満足が行くはずです。

いまクルマの世界では、エンジンの排気量を小さくしてターボチャージャーで出力を向上するという手法が一般的になっていますが、さすがにバイクにターボチャージャーなどの過給機は大げさすぎだし、スペースの制約も出てきます。第一、価格の問題もありますよね。

今回のPCX HYBRIDのスタンダード車との価格差は約9万円。専用装備としてABSも装着されていますから、ABSが仮に4万円とするとバッテリー+モーターの価格は約5万円。この価格でひとクラス上の走りが手に入るなら、十分リーズナブルと思う人も多いのではと思います。

ロードスポーツモデルに搭載するには、もう少しバッテリーがコンパクトになることが前提かもしれませんし、バッテリー容量ももっと必要かもしれません。しかし、クルマの電動化のキモになるバッテリーは日々進化していますから、ロードスポーツモデルに搭載可能な大きさのバッテリーが実現する日もそう遠くはないと思われます。

バイクとHYBRID。意外でしたが、とても相性の良いものに思えてきました。

村田製作所製のリチウムイオンバッテリー。24個のセルが内蔵されている。もっとコンパクトになれば……

リチウムイオンバッテリーは、メットインスペース後部に収納されている。メットインスペースも確保

ホンダのクルマと同じHYBRIDのエンブレム。これがロードスポーツモデルに付く日が来てほしいものだ

Nom エイ出版社バイク誌プロデューサー/ジャンケン魔人

BikeJIN、RIDERS CLUB、DUCATI Magazine、BMW BOXER Journal(現BMW Motorrad Journal)などエイ出版社発行のバイク誌の編集長を歴任。現在は、趣味誌を中心にエイ出版社発行の媒体を統括