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この物語を読むと、一生オートバイに乗っていたい!オートバイに乗っていて良かった!と思う


スポーツバイク雑誌『ライダースクラブ』が創刊40周年を迎えた。創刊当初の1978年といえば、バイクブーム前夜。日本メーカーが世界のレースシーンで凌ぎを削り、若者の間でバイク熱がグングン加速していった。そんな時代に生まれた『ライダースクラブ』は、それまでのバイク雑誌とは一線を画し、大人が一生楽しめる趣味としてのスポーツバイクライフを提案。そのために必要なのが、ライテクであり、カスタムであり、バイク選びであるとしてきた。

40年の歴史を語るうえで欠かせない人物が元世界GPライダーの根本健。バイク乗りからは“ネモケン”の愛称で親しまれるライテクの伝道師だ。69歳となった現在でもバイク人生を謳歌し、サーキットイベントでは一般ライダーをバイクの後ろに載せてライテクを指南する。そんな、ネモケンの凄さが垣間見えるエピソードを『ライダースクラブ』編集長の小川勤に教えてもらった。

「まだまだ上手くなってる。だからオートバイに乗っていて、とても楽しい」

40年前の1978年に、小社発行の月刊オートバイ誌のライダースクラブを創刊したネモケンこと根本健は、20年来の僕のボスである。仕事の、そしてオートバイの師匠であり、20年間さまざまなことを教わってきた。

「全日本チャンピオンを勝ち獲り、世界のトップレースに参戦した経歴を持つライダーなのだから、オートバイに乗るのが上手くて速いのは当たり前」。もしかすると多くの人がそう思うかもしれないが、ネモケンが多くの読者やライダーから愛され、支持されているのは、ただ速いからというだけではない。速さや上手さを積み重ねてきたプロセスに、魅力としっかりした年輪があるからなのだ。

「オレ、まだ上手くなってるんだよなぁ~」。ネモケンが60歳位の時に、突然つぶやいたのを僕は忘れない。『マジで?』と心の中で思いつつ「本当ですか?」と聞き返したのを覚えている。

「本当だよ。まだまだ上手くなってる。だからオートバイに乗っていて、とても楽しい」。その頃のネモケンはアメリカのデイトナで行われるクラシックオートバイのレースに参戦を続けていて、確かに順位もタイムも上がっていた。その答えを聞いた時、『僕も絶対に60歳までオートバイに乗ろう』『60歳まで上手くなり続けよう』と思った。

そして実は、ほんの数カ月前、「満足のいくコーナリングができるようになってきたの、実は最近なんだよね~」と、69歳のネモケンがボソっとまたつぶいた……。再び『マジで?』と思いつつ、「本当ですか?」と尋ねてみた。そしてそのとき、僕も70歳まで上手くなり続けよう、満足のいくコーナリングをしてみたい、と思うと同時に“オートバイ趣味は一生モノだ”と確信した。オートバイを趣味にして良かったと思ったのだ。

ライテク動画はYouTube視聴回数延べ1200万以上!

『ライダースクラブ』が主催するサーキット走行会、ライディングパーティではいまも自分のオートバイのリヤシートに参加者を乗せてサーキットを走るというコンテンツを続けており、多くのライダーにネモケンのスムーズなライディングを実感していただいている。

安心&安全な走り方を追求した結果、参加者を後ろに乗せて走っているネモケンは、時には1人乗りのライダーよりも速く、雨でも降っていようものなら誰よりも速く周回する……なんてことも。この走行会はもちろん、さまざまなイベントで読者と接しながら、今でもライディングテクニック&テクノロジーを伝えている。

YouTubeの「ライディングNAVI」という番組でネモケンの存在を知った方も多いと思う。349回にわたって連載されたそのムービーの再生回数は延べ1200万回以上で、現在もその数は増え続けている。そこに出てくるテーマは身近ながらライダーなら誰しも一度は悩むことばかりで、それをネモケンがひとつずつ丁寧に解説し解消していくシーンは、長年オートバイに乗っているベテランにも攻略の手がかりになることばかりだ。

ネモケンのように一生バイクに乗り続け、上手になり続けたい

ネモケンは、走りの悩みを勢いやその場の雰囲気で解消したりせず、怖いと思った原因を必ず探し出しながら克服しながらオートバイ人生を送ってきたという。そのプロセスを『オートバイ乗りは、“怖がり”ほど上手くなる。』という一冊の本にまとめた。この本には、オートバイライフを安心&安全に長く、永く楽しむための近道がたくさん書かれている。実は20年間ネモケンの側で仕事をしてきた僕にも新たな「おっ」という驚きやヒントが随所にあって、ひそかに自分の引き出しにしまっておこうと思っている。

オートバイ乗りは、“怖がり”ほどうまくなる。/根本 健

ネモケンの「オレ、まだ上手くなっているんだよなぁ~」というつぶやきの本質は、今年44歳になる僕にはまだ理解できていない。だからこそ、そんな達観した世界を見るためにもボスと同じ69歳まで……と言わず一生バイクに乗り続け、上手くなり続けたいと思う。