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BikeJIN

【Thinking Time】
⑮高速料金「定率割引」へ そのとき何が起こっていたのか?

*BikeJIN vol.223(2021年9月号)より抜粋

6月30日、「二輪車業界の明日を語る会」と題した講演会が開催された
国会議員として高速料金問題の先頭に立ってきた逢沢一郎衆院議員が
定率割引プラン実現への道すじを振り返りながら語るというものだった
国交省やネクスコとのやり取りに、時に頭を抱えながらもこの問題をどう進めてきたのか。
講演内容を交えつつお伝えしたい

目次

「二輪業界の明日を語る会」

6月30日、都内の某ホテル会場にてオートバイ政治連盟主催による「二輪業界の明日を語る会」が開催された。定率割引プランについての説明がなされるとのことで多くのメディアが集まった。
 

国交省との難解なやり取りが数年も続いてしまった定率割引プランの要件は現在のところ次のようになっている。

定率割引プランの要件

・料金は普通車の半額 現行二輪車料金の37.5%割引

・22年4〜11月の土日祝日

・一度に100㎞超の走行距離

・ETC車載器の搭載と登録

・サイトでの事前申込み

 PT座長の逢沢一郎議員は、講話の冒頭でいつものように「一丁目一番地は高速道路料金の適正化」とあらためて発言した後、さっそく定率割引プランの課題とされる付帯要件について説明を始めた。そこには国交省とのやり取りの難しさが示されていた。高速道路料金は、その車種の空間占有率や車重等による路面損傷率等により定められているが、そうした基本的な事柄においても、国交省が示してくる「バイクも少し重くなった……」等の様々な理屈について「よく分かりませんでした」と率直な感想を述べた。さらに、国交省は最も大きな投資となるトンネルに対しての負担を例に「軽自動車と二輪車+ライダーの断面積はほぼ同じでトンネルに与える影響は変わらない」と言われ、「もうわけの分からない理屈が次から次に出てきて……」と半ばあきれた様子で話し、こうしたやり取りが数年続いてきたこと、また、今現在もそうした状況にあることを「関係者の皆様に申し訳ない」振り返った。
 
また、定率割引プランの発表後に多くのライダーが指摘した要件である「一度に100㎞超の走行」については、「100㎞を超えると東名高速だと東京から沼津くらいまで行かないといけない。この条件では箱根や湯河原は対象にならない。それだと利用者は多く見込めそうにない」と現状の要件の難しさについて自身を理解していることを示した。

オートバイ政治連盟会長 吉田純一 氏
会の主催者として登壇した吉田氏は、自民党オートバイ議員連盟の立ち上げ当時から振り返り、初代・小里貞利会長から引き継いだ逢沢一郎会長の継続的な活動と功績に感謝の意を述べた

全国オートバイ協同組合連合会(AJ) 会長 大村直幸 氏
AJの大村会長は、国土交通省内の高速道路審議会・部会においてプランではなく「料金体系の独立の提言」がされるところまで話が進んでいることを報告。自身の任期中に結果を期待したいと述べた

自民党二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)座長  自民党オートバイ議員連盟 会長 衆院議員 逢沢一郎 氏 (岡山1区)
定率割引プランの実施についてツイッターフェイスブックに投稿したところ数十万件の反応があったことに驚いたと逢沢氏。ライダー以外の国民も広く関心を持っていることに感慨深げだった

公明党の北側会長もコメント


“明日を語る会”と同日に開催された「公明党オートバイ議員懇話会 北側一雄会長との座談会」には、北側一雄会長と伊藤渉顧問、吉田純一オートバイ政治連盟会長と大村直幸AJ会長の4人が出席。定率割引プランについて北側会長は「要件はあれど定率割引の実施は料金区分問題について大きな前進。細部はこれから詰めた議論をしたい」とコメント。吉田、大村の両会長は感謝の意と共に「動きが早く、駐車場問題などで地方議員との連携がうまい公明党に期待している」と称えた

ブーイングの100㎞要件 目的外利用の防止のため

なお、この100㎞要件について国交省高速道路課の担当者にあらためて確認した。まず、定率割引プランの目的は「観光振興、地域活性化」であること。よって、観光目的の利用者(ツーリングライダー)が高速道路を利用しやすい休日のみに設定したという。この判断は裏を返すと、過去に実施されたツーリングプランでの平日利用者が想定よりも少なかったということだ。また、地方部で実施されているETC平日朝夕割引(祝日を除いた月曜から金曜まで通行料金のうち最大100㎞相当分を約30%または約50%還元)と明確に切り分けて「目的外利用を防止する必要があった」こと、さらに、他の割引との整合性を図る等の狙いもあるという説明だった。
 

こうした国交省側の思惑に譲歩しつつ、まずは定率割引プランの実施を優先したのがPTの決断のしどころだった。逢沢議員は「本当は50㎞ぐらいで始めたかった」と本音を漏らしつつも「とにかく定率割引ということに大きく踏み込めたことに意義を見出している」と率直に評価していた。そして、高速料金問題の最終ゴールは「365日、誰でも、どこからどこまで乗っても、すべて普通車の半額。普通車1:軽自動車0.8:二輪車0.5、これを最終的には必ず実現する」と決意を述べた。逢沢議員は「ちょっと大げさな言い方になるかも」と前置きしながらも「私もそうですが、オートバイ議連の役員、PTのメンバーも政治生命をかけて必ずやると約束しています」と明言し、来年始まる定率割引プランは最終ゴールへの確実なステップであると強調し、引き続き、国民の支持と応援を求めていた。
 

また、国交省の内部でも高速料金負担について、将来も今の5車種区分でいいのかどうか真剣な議論が始まっていることを伝え、「軽自動車と二輪車をこれからも同じカテゴリーで一緒にくくっておくのは無理があるというニュアンスは、私どもにも伝わってきています」と国交省内の空気が変わってきていることも示した。なお、本年4月からの実施予定が1年遅れたことについては「高速料金に何か新しい仕組みを導入しようとするとシステム設計に時間と手間、費用(約200億円)がかかる」とネクスコ各社の料金収受システムのベースが古く、改修に時間を要することを示唆した。逢沢議員の苦労が伝わってくるような講演内容だったが、まずは来年の春、大きな一歩が無事に踏み出せるよう新型コロナが収束していることを祈りたい。

ツーリングプランに歴史あり アンケート結果には利用者の声


定額のツーリングプランは過去すでに4回実施されている。首都圏から始まって徐々に範囲を広げ、3年目には北海道と四国を加えたほぼ全国で開催されるようになった。利用申込みサイトのアンケートでは二輪車の高速料金について「軽自動車の5/8」といった具体的なワードで問うなど、民意を伺う姿勢を見せていた2017年、ツーリングプランが初めて開催される際のメディア向け説明会の様子。ネクスコ担当者が出席し質疑応答もあった。

*1 北海道は10/31まで
*2 首都圏を含む6コースのみ10/1から

Writer 田中淳磨(輪)さん

二輪専門誌編集長を務めた後、二輪大手販売店、官庁系コンサル事務所への勤務を経て独立。三ない運動、駐車問題など二輪車利用環境問題のほか若年層施策、EV利活用、地域活性化にも取り組む
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